つい最近「そういやヘブンズフィールの映画って結局観てないな……」と思い出して、友人数名と鑑賞会を開いてきた。
感想としては、映画はめちゃくちゃよくできていて、桜ルート独特のしっとりした肌感はそのままに、ufo作画の躍動感ある戦闘シーンがプラスされているという塩梅で、いちファンとしてとても満足できる仕上がりだった。良いモノを観た。
そんなこんなで筆者の人生何度目か分からないプチFateブームが来てしまった訳である。実を言うと『staynight』『Zero』『GrandOrder第1部』以外のFateは全く知らないという状態なのだけど、正直初手はサクッと観られるモノが良いなと思っていた為、必然的に映画を鑑賞する流れになる。そこで表題の『キャメロット』である。
しかしながらこのFGO第1部の終盤3章、アニメ版はどれもこれも評判がすこぶる悪い。「イキリ鯖太郎」「デリヘル偉人バトル」というネットミームが、(その頃は)関心がなかった僕のタイムラインにすら流れてきていた程の炎上騒ぎだった覚えがある。
そんな評判を聞いてしまうと逆に気になってしまうのが逆張りオタクという特級呪物であり、後悔するのに「クソの中の面白さ」を探したくなってきてしまうのだ。全く困った性分である。
ということで前後編2作しっかり観てきたので感想をダラダラ語っていく。どうぞ気軽にお付き合い下さい。
ざっくり感想
率直に言うと、意外と面白かった。
正直、半分くらいネタで観た部分はあるんだけど、改変はいくつかあったものの話に大きな破綻も無く、我らが藤丸も評判ほどイキってる描写は無かったし、観ていて不快感もなく普通に面白かったと思う。
ベディヴィエールを主人公に据えていたのも、円卓メンバーの描写がちょいと薄くなっていたきらいはあるが、その分映画として1本筋が通っていて観やすかった。その分少しダイジェスト感はあったが、そこはまあ取捨選択なんだろう。
また、腐っても劇場アニメなので戦闘シーンはかなり気合いが入っていた。特に後半1時間の聖都戦闘は作画そのものが違ったレベル。トリスタンvsハサン組、ランスロットvsアグラヴェインの戦闘など、ド迫力で描かれていて大満足。獅子王のロンゴミニアド発動シーンや、その他宝具のアニメ描写もどれもカッコよくバッチリ。良かった。
あとは、やはりちゃんとキャラが喋ってくれる事だろうか。特に獅子王がちゃんとcv川澄綾子で喋ってくれるのがとにかく良かった。ノベルゲーのボイスは全部聞く派の人間なので、この部分は個人的に1番デカい評価点である。
だがしかし、これらの面白さは基本全て「後編」に集約されている為、どうしても世界観やキャラ紹介が多くなってしまう「前編」は評価が低めになってしまうのも仕方ないことではある。
今回は前後編を通しで観たおかげで割とポジティブな感想を抱いたが、これを1年くらい待って後編を観たとなると劇場版キャメロット全体の評価はイマイチ低くなってしまうかもしれない。
……とまあ大まかにこんな感じの感想を抱いた。次項からはより詳しい感想に移るよ。
道中戦闘が無い
当たり前だけど一応アニメなので、ゲームのような「その話は目の前の敵を倒してからだ」パターンの戦闘は無く、コレが地味に良かったです。
話の途中で戦闘が入ると、完全に流れがブツ切りになり、段々熱くなってきた所に冷水をぶちまけられるが如く急に冷静になってしまうのがダメ。その点アニメだとそんなことは無く、流れでそのまま情緒を持っていける為、かなり自然に物語へ入り込める。
最近だとどのソシャゲでも、コレ系のしょーもないシナリオは無いイメージがある。いい時代だ。
モードレッドvs三蔵ちゃん
この対戦カードは多分原作の描写には無かったような?数年前の記憶なので怪しいんですが。
こういうアニオリ部分の戦闘ってのは単純に「おおっ!」となるし、キャラのイメージに厚みも出るしで個人的にかなり好きだったりする。
具体的内容については、暴走気味なモードレッドを三蔵ちゃんが鎮める、といった展開。宝具のド派手なぶつかり合いも勿論だが、何より三蔵ちゃん「らしさ」が全面的に出ていたのが良かった。マスター相手だろうがモーさん相手だろうが関係なく道を説くその徳の高さ。モーさんもアーラシュに言われるよりは納得して座に還ることができたんじゃなかろうか。筆者も膝枕してもらって消滅したい……。
ガウェインがゴリラすぎる
この映画中いちばん笑ったポイントかもしれない。特にガウェインが壁をダッシュで破壊しながら前進してくる所は普通に笑ってしまった。そりゃ全力で逃げるわ。
また、ベディの渾身の一撃を顔面に食らってもほぼ無傷だったり、獅子王からパワハラを受けても立ち上がったり、と中々憎めない奴だった。円卓があまりにブラック職場すぎて少し同情してしまう。まあ心身共に無傷で立ち上がるゴリラなんですけど……。
そんなゴリラは「覚悟」を想起させる、いわゆる中ボスの立ち位置。コイツを越えないとあらゆる意味で獅子王には到達できない、という正しく壁であった。
結果最後に勝敗を分けたのが「覚悟」の差であり、それをもってようやく獅子王にまで辿り着けるというシナリオ。
覚悟の「差」が何処に表れたのかは、言うまでもなく藤丸たちとの交流から来るものであり、それが詰まっているのがアーラシュから継いだ短剣。その短剣を以て「関わった全員の覚悟」とし、矜恃のために仲間を殺せるか?という問いかけに対するアンサーとなる構図。ただただ良かった。いやもう実質ラスボス戦だろコレ。
藤丸が……
特に良かった点は上記の通りだが、一応それなりに気になった点もあって。それが「藤丸必要か?」問題である。これだけはマジで気になった。
原作だと藤丸視点=神の視点(第三者視点)なので、存在感をそれほど感じずに済んでいたんだけど、アニメとなるとどうしても主人公を居させないといけない為、どうしても異物感がある。
そもそも獅子王を目指さないといけない理由自体がかなり薄く、藤丸自体が戦力になりづらい状況も相まってなんとなく存在理由がフワフワしている印象を抱いた。一応、令呪を最後の切り札として使うためにサーヴァントと一緒に向かうのは分かった。分かったんだけど、やっぱり居る意味としてちょっと弱いのかな、と。
鯖は鯖の、藤丸は藤丸の戦闘分野で戦う構図なら全然納得して観られたので、ぶっちゃけココはマスターとサーヴァントという構図上仕方ないのかもしれない。これに関しては、(主に先入観的な意味合いで)冬木の連中がどいつもこいつも強すぎたのが悪い。
この辺は『ソロモン』で藤丸に光の翼が生えるとかいうとんでもない情報から察せられるモノがある。ソシャゲのアニメ化って大変なんやな……。
終わりに
前編はアレな感じですが、後編は普通に面白かったので気になってる人は(鑑賞会とかなら)全然観ても良い内容になっていると思いました。ただまー改変がそこかしこにあるので、原作厨の自認がある人とかはやめといた方がいいかもしれない……。
また、取り上げていませんが獅子王戦も文句無しに面白く、ここだけは特に改変も無かったので純粋に楽しめると思います。川澄さんとマモの演技が上手すぎて普通に見入ってましたし、絶妙に映えてる画ばかりでした。
次は『バビロニア』のアニメをみて、それから『ソロモン』かなぁとか思ってます。イキリ鯖太郎はバビロニアから産まれたらしいので、それを見極めつつ楽しみたいですね。光の翼が生えてる藤丸が気になりすぎるな……。
あーだこーだ書きましたが僕からは以上です。読んで頂きありがとうございました。