暇日記

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ゲームと漫画のブログです

『沙耶の唄』感想。鈴木さんに始まり、鈴木さんに終わる。

 

沙耶の唄AI』という、AIの女の子と会話できるアプリが無料で遊べるらしい。

気になるしやってみるか〜と思っていたら、どうやら原作があるらしく、そっちからやってみれば?との教えを頂いたので早速プレイしてみた。

 

何の前知識も無い状態だったので、序盤のホラーにブルブル震えつつのプレイだったが、話が進むにつれ段々とホラー要素は薄れ、しっとりした雰囲気で終わるという、短いながらも内容自体はかなり濃いモノであった。

今更20年前のゲームの感想を書くのもどうかと思いますが、現代人の感想ということで、各エンド毎に思ったことを雑に書いていこうかなと。気楽に書いた文章なので、どうぞ気楽にお付き合い下さい。

 

共通ルートからの開花エンド

共通ルートは鈴木さんがアレになってアレされるまでのお話。ホラー苦手な筆者としては、正直な所、青海や鈴木さんに感情移入しまくっていた。

初めはフミノリ(主人公)の1人芝居で、沙耶は幻影なのかと思っていたら、普通に実在していて、尚且つ料理も作ってくれる、と中々の良妻ロリだと思っていたのもつかの間。青海がフミノリ宅に無断侵入した辺りから180°テイストが変わり、電波なストーリーを想像したところから急にホラーが来た。心が折れそうになった。

 

この時点ではまだ沙耶の得体が知れないのもあり、怖すぎてブルブル震えながら夜にプレイした事を氏ぬほど後悔していた。人間と同程度(またはそれ以上)の知能を持ち、倫理観が人間のソレとは少しズレていて、聴き取れない謎の言語を発する、触手を持った食人生物。いや怖いな!?

人の敷地に勝手に入って勝手に氏んだ青海はともかく、鈴木さんはマジで何もしてない人だったのが余計に哀愁を誘う。いやまあ最終的にレイプ魔みたいになってたんだけど、アレは色々と精神がぶっ壊れてたせいなのでノーカンということで。理性が保たれているならそんな事をする人では無いハズだ。僕は鈴木さんの味方です。

 

そんなこんなで「沙耶の機嫌だけは絶対に損ねないようにしよう」と決心したところに選択肢が表れる。「元に戻りたい」か「このままでいい」の2択だ。もはや選択の余地はない。ここでゴマを擦らなければいつ擦るというのか。浅い自我由来のしょーもない欲求と、ガチの生存欲求のどちらを選ぶかなど言うまでもないだろう。ということで迷いなく「このまま」を選んだ。

フミノリが狂気に身を落とすか否かのターニングポイントはココで、初見では不可抗力で狂気のルートへ行くことになったワケである。

 

そんでそこからは道中で親友を殺人未遂したり、元友人の女の子を肉便器にしたりと、割とやりたい放題やりつつ、またもや選択肢分岐が。

前回の選択肢以降、親友視点のモノローグが増えていたので、恐らくここの選択肢で話のオチが変わるんだろうと何となく予想。筆者は単純に「男なら身体ひとつで行くだろ!!」と脳筋思考だったのでイキリトな選択肢をクリック。

その後はなんやかんやあって、沙耶の子供?らしき生物が地球上に溢れ、人類滅亡からの新時代到来エンド。えー、沙耶にビビりまくってたらいつの間にか人類が滅んでました。ふざけるなァ!バカヤロー!

 

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ということで「開花エンド(俗称)」を迎えたワケですが、率直な感想としては純愛……、純愛??って感じ。

フミノリ的には愛した相手と同化できるというコトで、まあ幸福っちゃあ幸福なんだろう。沙耶は居なくなってしまうが、すぐ側に沙耶を感じられるしヨシ!といった所だろうか。

しかし筆者的に気になったのが、フミノリの「アイツらはバケモノ(に見える)だから殺したって何も感じないし、喜びすら覚える」的なセリフ。これってもし感覚が元に戻った場合には沙耶に対しても同じような事が言えるわけで。こういったセリフを平気で会話に混ぜてくる辺り、それはちょっとどうなんだろう……と思ってしまった。この辺の微妙なすれ違いも味なんだろう。

 

ただ沙耶視点で見てみると確かに純愛である。何も知らない生命体が、人を知り、言語を知り、感情を知り、そして恋を知る。

なまじ恋を知ったばかりに、子を為さねばならない使命があるにも関わらず、できない。誰の目から見てもバケモノだし、言葉だって理解して貰えないから。

そんな中に表れた唯一の理解者たるフミノリ。彼に好かれるよう懸命に尽くし、短いが太い旅の果てに結ばれ、恋仲となり、そして最期にフミノリの為に子を為し、命を散らす。純愛じゃん……。

 

ということで、表面上だけなぞると微妙なエンドに見えましたが、ちょっとだけ視点を変えてみると全く違う見え方に変貌する、といった少し不思議なエンドでした。少年漫画脳の筆者的にバチッ!とハマりまではしなかったものの、噛めば噛むほど味がするという意味では結構好みだったりする。これぞ虚淵!って感じの終わり方でもあり、素直に面白かった。

 

 

親友エンド

親友が主人公と沙耶をシバいて終わるエンド。

沙耶が氏んだらあっさり自殺したフミノリをみると、多少のすれ違いはあったものの確かにその愛は本物だったんだな、と。

対して親友君はトラウマにより幻聴やら悪夢やらにうなされまくっていて、いつでも自殺できるようにピストルを常備していないとマトモに生活できない体になっており、ただただ不憫である。やはり己が分をわきまえない振る舞いは身を滅ぼすのみ。筆者も肝に銘じておきます。

 

このエンドに対しては特に感想もなく、可哀想だなァ、とだけ。パンピーが非日常に関わった時点で負けなのだ。

 

 

刑務所エンド

これぞ純愛。

沙耶にビビらず自分に正直な選択をすると辿り着いたエンド。このルートはヒジョーーーに分かりやすかった。

自分の醜い姿を見られたくない沙耶が可愛く、それに対して「どんな姿でも君を愛し続ける」と言い切るフミノリも良い。恐らく最後になるであろう会話を筆談(メール談)で行い、沙耶は泣きながら別れを告げ、フミノリはもう来ることは無いであろう沙耶を独り永遠に待ち続ける、という筆者のようなバカでも分かる絶妙にしっとりしたエンドで最高だった。誰だよ純愛……?とか言ってたやつァよォ。

やはり視覚というのは人間の生活においてあらゆる意味で重要なんだろう。開花エンドのようなピリピリした雰囲気はなく、このルートのフミノリなら元の姿の沙耶でも愛せるだろうと思うんだ。心の余裕ってやっぱり大事ですね。

地味にこのルートだとヨウちゃんが肉便器になることもないし、親友は普通に生きてるし、割かしハッピーエンドといえなくもないのかな?主人公は刑務所だけど……。

 

 

終わりに

5,6時間程度のゲームでしたが面白かったです。セカイ系(死語?)の温度を感じるシナリオで、久しぶりにこういったストーリーを体験したのもあって満足度が高い。

特に触れてませんがエンディング曲も良かったです。文章は読みやすく、キャラクターも個性がハッキリしていて、かつオチはしっかりしている、と、求めていたモノは概ね得られました。満足。

これからやる人が居るなら、とりあえず刑務所エンドは最後にやることをオススメしておきます。多分開花エンドを最後に見るとモヤモヤするんじゃないかな……。

 

あと肝心の『沙耶の唄AI』もプレイしました。

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鈴木さん追体験ゲームでした。どのルートでも肉塊ってどういうこと?!

 

あーだこーだ言いましたが僕からは以上です。

それでは。