ダンガンロンパ制作陣の最新作である『超探偵事件簿 レインコード』。
犯人の発言の矛盾を「論破」しながら、集めた手がかりを整理して犯行を再現、といういつもの流れはそのままに、今回は「探偵もの」ということで犯行トリックがかなり凝った作りになっていた。手がかりを集めた段階だと、犯人含めトリックの全容がサッパリ分からない、なんてのは普通にあるし、その状態で謎解きに挑まされるので、思考の為に手が止まる瞬間も少なからずあった。
そんなゲームだったが、ダラダラとプレイし続け、先日ようやくストーリークリアまで漕ぎ着けたので、以下よりネタバレを交えつつ感想を書いていきたい。
大まかな解説
ジャンルとしては推理アクション。ゲームの流れとしては
- 日常編
- 事件発生
- 手がかり集め
- 推理フェーズ
- 犯人を当て、魂を狩る(≒オシオキ)
- 1に戻る
を繰り返す。要するにダンガンロンパ。
しかし、今回はシナリオ全体から受ける印象があちらとはかなり違っていて、より「探偵もの」「推理もの」らしく仕上がっている。
ダンガンは犯人の犯行動機だったり、人間性だったりを掘り下げていくが、レインコードでは割と徹底して「事件」を相手にしている。当然、謎解きの道中で「犯行動機」を探したりはするが、犯人の掘り下げという意味合いではなく、あくまで謎解きの為に探す、という塩梅。
人vs怪人ではなく人vs人の構図が見たかったのが本音だが、その分謎解きに集中できたし、終わってみればこれで良かったなかなとも思う。
また今回は完全に3Dマップでの探索が可能となっており、現場の状況等が具体的にイメージしやすくなっている。
もちろん登場人物も3Dモデルが用意されていて、場面に応じて表情も3パターンくらいで変化する。あと死に神ちゃんがとにかく可愛い。
事件発生の際に周りの住民に聞き込みを行ったり、過去の事件を遡る際にはカナイ区(物語の舞台)中を歩き回ることになる。事件現場も当然3Dマップであり、犯行トリックも過去作に比べ3次元的なモノが多かったように思う。
今回は事件の手がかりを「解鍵」と呼び、犯行の証拠を「鍵」として集めることになる。
といっても、例によってチェックポイントがちゃんと用意されており、とりあえず全部のチェックポイントを調べればいいだけではある。証拠集め不十分なんてことにはならず、そこは安心。
ただまあ、これは過去作からそうなんだけど、この証拠を集める段階で「トリックは分からないけど、まあコイツが犯人だろうな」と何となく予想ができてしまうのはやっぱり残念だった。
演劇の回は途中までガチで分からなかったのでかなり楽しめたが、所長回なんかは証拠集めの段階でほぼ分かってしまったのでちょっとガッカリしてしまった。恐らく、犯人探しより謎解きをメインに据えていたんだろう。実際に犯行トリックの謎解きそのものは面白かったと思う。
その謎解きを行う舞台が「謎迷宮」。謎を解いていく毎に奥まで進めるようになり、最奥まで進むと犯人の魂に辿り着くことが出来る。そこで魂を狩りとって成敗、という流れ。
そんで例によってミニゲーム形式で謎を解いていく。これについてはぶっちゃけネプリ〇グ。そのまんま過ぎて思わず笑ってしまった。
QTE形式で選択肢を選んでいくミニゲームも多数存在し、基本3択で出題される。しかし制限時間が絶妙に短く、たかがゲームと舐めていた筆者は瞬く間にライフを削られまくった。2,3問に1問は普通にミスってました。
また、個人的に最も難しかったミニゲームは「死に神ちゃん危機一髪」だ。内容としては、回転するタルに描かれた文字を1文字ずつ当てていき単語を作る、というもので、これがまた絶妙に制限時間が短く、タルの回転速度もかなり速めなのも手伝って全く思考がまとまらない。
迷宮スキル(難易度緩和措置)を付けずにプレイしたのだが、途中本当に分からなくて何度かコンテニューしたのはよく覚えている。特に「ほそいひも」と「きょうはん」はガチで分からなくて2,3回やり直した。その分解けた時の気持ちよさは中々のモノがあったが。
過去作の学級裁判にあたる「推理デスマッチ」や、クライマックス推理にあたる「推理フィナーレ」もしっかりある。正直この辺は過去作まんまなので特に語ることは無い。強いて言うなら、過去作より良い意味で分かりやすくなっていてストレスフリーだった。「え?それはちょっと違くない?」みたいなのはほぼ無い。ここは素直に良かったと思う。
謎解き全体を通して、普通は「過程→結果」の順に解明していく所を、何故か「結果→過程」でゲーム進行させなければならないのは多少気になったが、トリック含め諸々の要素はかなり楽しめた。テンポも良く、途中の死に神ちゃんの合いの手も程よい。総じて面白かったと思う。あと死に神ちゃんが可愛い。
キャラクターとかシナリオとか
とにかく死に神ちゃんが可愛い。謎迷宮の姿も可愛いが、霊体の姿も中々愛嬌がある。
このキャラのメタ発言でめちゃめちゃ和むシーンが数え切れないくらいあって、この辺は制作陣のセンスが爆発していたな、と。混沌・善のモノクマみたいなキャラで終始ユーマの良き相棒だったように思う。
筆者はゲームの際、基本的に見たことあるムービーはスキップする派なのだが、こと死に神ちゃんのムービーだけは飛ばさずしっかり観ていた程度には大好きである。ちなみに死に神ちゃんの次に可愛いキャラは主人公であるユーマ。これは譲れん。
他の超探偵も中々に魅力的なキャラ揃いだった。ただデスヒコ・サンダーボルトというあまりのDQNネームには同情を禁じ得ない。インパクトが強すぎて久しぶりに一瞬で名前を覚えることが出来た。名前って大事なんだな……。
シナリオは、各章ごとに1人の超探偵とバディで事件を解決していくストーリー。0章と最終章だけ例外的に1人で解決する。
正直に言うと、縦軸の話で1番面白かったのは間違いなく0章である。超探偵5人が開幕で全員氏ぬ、というこれぞダンガン制作陣!と言わんばかりの衝撃を初っ端から浴びせられた。なのでこの時点でパッケージの約半分が氏んでいることになる。ダンガンV3並みのパッケ詐欺である。
その割に、犯行トリックがまさかのベッド下に隠れるという1周まわって高等なトリックだったのも面白い。そんなことを思いつく方もそうだが見つけられない方も中々のモノである。この時点でユーマはガチの素人なんだというのが分かる話でもあるため、色々と重要な章であった。
そんな0章から始まったストーリーは、縦軸として「カナイ区最大の謎」と「ユーマの成長」を主に据えつつ、横軸として「カナイ区の現状」を説明するという塩梅で進む。
個人的に、2章がシナリオや謎解き共に好みだった。過去の事件から始まる怨恨、パッと見程度じゃ分からない犯行トリック等々、かなり前のめりでプレイしていた。
3人全てのアリバイが成立した段階で、筆者も「んんん???」と頭を悩ませ、その後の「きょうはん」の5文字が3回コンテニューするまで思いつかなかった。危機一髪が難しいのも勿論あるんだけども。
また、何だかんだで最終章も面白かったと思う。ある程度の解鍵を集めた段階でカナイ区の秘密は大体分かったんだけども、ホムンクルスなのはユーマかマコトかが結構ギリギリまで分からなくって。それまで謎解きメインだったのが、急に「過去の自分を越える」という激アツストーリーに変貌したので温度差で風邪ひきそうになった。
その際の「血がピンク」の解鍵もダンガンらしさ全開で思わずニッコリしてしまった。「いやそれはどうなんだ?!」とも思いつつ、そういうメタなセンスに惹かれてしまうのも確かで。最後の最後に「これぞ!」というモノを見せてくれて非常に満足である。
シナリオは概ね面白かったが、超探偵2人ないしは全員で能力を使って解決する事件なんかもあればもっと面白かったのかな、とも。ややバリエーションに欠ける印象も受けた。
とはいえ総じてストーリーにはとても満足出来たのは間違いない。上記で触れていないが、探偵たちの語らいもちゃんとキャラが掘り下げられていて良かったと思う。条件がちょっとめんどくさいんだけどさ……。
特典小説『超探偵のなり方 ヤコウ=フーリオ編』も読んだ。所長の過去編で、事前に言われていた通りプレイ前でも後でも、どのタイミングで読んでも問題ない内容だった。
とはいえ、本編中で語られなかった「犯行に及んだ際のヤコウの気持ち」が何となく察せられる内容でもあり、そういった意味ではプレイ後に読んだ方が満足度は高いのかな、と。
筆者としてもヤコウのような人間味のあるキャラクターは大好きなので、こういった「手がかりを集めて心情を想像する」作業は大好物だ。64Pと短いが、読めてよかった。満足。
総括
大満足
流石に初めてダンガンをプレイした時の衝撃を越えてはくれませんでしたが、それでも大満足できました。ゆっくり遊んでも40時間前後でクリアできて、丁度いい塩梅なのもGood。
「世界探偵機構」という枠組みもあるし続編なんかは無限に作れそう。2作目出るなら絶対プレイしたいくらいには面白かったです。
筆者は未だにダンガン世界から抜け出せていないので、過去作の血は「ピンク」ってことは……などなど、益体もない想像を膨らませております。いい加減抜け出したい。
あとこのゲームで少し残念だったのが、対応ハードがSwitchのみであること。ぶっちゃけるとロードが長すぎるのと低FPSが結構しんどかったので、次があるならできればPS5も対応にして欲しいですね。
なんやかんや書きましたが筆者からは以上です。それにしてもパッケージの赤目の男は一体誰だったんだ……。