暇日記

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『Fate/Samurai Remnant(サムライレムナント)』感想。生きる上で、エゴって大切。【ネタバレあり】【サムレム】

 

「型月 × コエテク」より生み出される「Fate × 無双」の最新作たるFate/Samurai Remnant』。今回はFateシリーズ自体の新作でもあり、個人的にちょっとだけ期待していた作品。

 

ひと通りクリアした感想としては、序盤はアレだが、中盤を過ぎるとシナリオ、アクション共に面白くなっていき、終盤にて盛り上がりのピークを迎え、余韻もそこそこにサッと幕を引くエピローグで〆、という案外素直なゲームだった印象。

無論、人物や細かい設定等はしっかり型月クオリティで大いに楽しませて貰った。そんな雰囲気から生み出されるThe・王道な展開も「らしさ」全開で良かったし、2週目に解放されるルートも良い意味で「らしさ」の塊でとても面白かった。個人的にはこのルートが1番好き。

 

ということで、前書きもこの辺までにして以下より詳しい感想を書いていく。ネタバレは普通にあるので苦手な方はブラウザバック推奨です。

 

アクション関連

無双ゲーということで、多くの人は「かっこいいアクション」や「バッタバッタと薙ぎ倒す爽快感」を想像すると思う。筆者もそうだった。

しかし結論から言うと、中盤くらいまでそんなものは無い。人によって感じ方は違うと思うんだけども。

 

Fate無双ってことで、僕はてっきりサーヴァントを使えるものと思っていたんだけど、蓋を開けてみると基本操作は主人公たる宮本伊織(セイバーのマスターで一般人枠)で、サーヴァント操作はゲージを貯めて一定時間操作できるという、ある種の時限強化のような扱いだった。

まあ、確かにコッチの方がサーヴァントの強さをより実感できるし、伊織が強くなっていくのも肌感覚で分かるためゲームへの没入感は上がると思う。剣鬼ルートの展開も踏まえると、こういうシステムにした方が序盤と終盤の落差をより感じられて良い、という判断も分からなくもない。

 

 

ただこの仕様のシワ寄せが来ているのが、よりにもよって序盤なのだ。

当たり前だけど、序盤のシナリオって大抵どのゲームでも説明が多めになりがちなのでちょっと退屈。そこをアクションの新鮮さや爽快感で中和し、アクションに飽きてくる中盤以降をシナリオの面白さで引っ張る、というアプローチが普通だと思う。

ただ本作では上記の仕様と、過去作やってたら既にある程度知っている「聖杯戦争の説明」がメインで展開されるシナリオ、そして今回はあまり触れないがSwitchクオリティのグラフィックやモーションの三体が悪魔合体し、プレイ欲をガンガン削いでくる。正直序盤が1番キツかった。

 

 

反面、序盤を抜けると尻上がりに面白くなってくる。シナリオ面は後述するが、アクション面では伊織が「火の型」や「空の型」を覚える位から明確に爽快感が増して、素直に面白かった。

特に空の型。初めて使った時は「いやアナタもうこれサーヴァントじゃないすか……」ってくらい火力や巻き込み範囲が上がっていて感動した。なんなら1周目終盤~2週目からはサーヴァントより伊織の方が使いやすかったまである。

モーションも武蔵ちゃんのソレとほぼ同じでちょっとエモい。斬撃飛ばしたりビーム撃ったり割とやりたい放題。

 

 

また奥義も、秘剣なんて名前ついてるし小次郎が師匠ってコトは……、なんて思ってたらホントに燕返し使えるようになってて笑ってしまった。これやったら最強じゃね?を実現させてしまう伊織さん流石っす。演出も丁度いい長さだし、威力も申し分なくてマジで最高。武蔵タイマンの決め手になったのもエモい。

そして燕返しの株が上がれば上がる程に某農民の株が上がり、鳥の評価も上がる。どこぞの56皇頃しに似ている。次元屈折現象を起こせないと攻略不可能な鳥ってソレ明らかに生き物の範疇を超えている気がするが、まあ気にしたら負けである。

 

総じて、中盤以降は前述した欠点と相反するようにどんどん面白くなっていった。特にシナリオ上の伊織の強さとアクション面の強さがリンクしていたのが個人的にツボ。伊織さん、最初の方に雑魚とか言っちゃってホントすいませんでした…。

ただまあボス戦では、仕様上「待ち」主体になるのはアクションゲーとしてもうちょい爽快感が欲しかったと思う。靱性が高すぎるんよ。

 

 

他サーヴァントの操作も爽快感があって良かった。ただやはり伊織やタケル程のアクション自由度は無いため、今回のようなサブクエとお助けでチョロっと使うくらいの塩梅でちょうど良かったと思う。

ギルガメッシュも折角なら使ってみたかったが、ヤツは今回マジで何もしてないせいか、そもそもプレイアブルが存在しなかったので叶わぬ夢となってしまった。まあ敢えて戦うような敵も居なかったし仕方ないか。

 

また、宝具演出も現代らしくド派手。演出スキップが無いのは少しモヤッたけども。サムレムでもFGOでも同じこと言ってる。

直近でそのFGOをやっていたおかげで武蔵ちゃんの宝具が完成していないことに気づけたり、タケルの宝具でもう正体がバレバレだったりと、ニヤリポイント満載。

今回の聖杯戦争は宝具EXが数体居たので、ガチバトルが勃発していたら江戸崩壊してたんじゃなかろうか。地味にバケモン揃い。

 

 

 

シナリオ面

例によって面白かった。設定の説明やキャラ紹介が大体3章くらいまで続き、4章で分岐する感じ。2週目は聖杯の処遇で分岐。

良かった点は沢山あったが、個人的にはやはり宮本伊織という男の本質が明かされる剣鬼ルートが最も印象に残っている。

 

前2ルートはセイバー陣営以外の結末が描かれていて、どちらもスッキリ終わったが肝心の伊織とタケルの願いが不透明なまま聖杯は破壊される、といった塩梅。

どちらも面白かったし、鄭が闇堕ちしたり、まさかのチエモンがラスボス化したりと、どちらもちょっぴりスパイスが効いたシナリオで、ダレることなく最後まで楽しめた。

このシナリオだと、個人的にランサーがリリィやオルタでは無く普通にそのまんまジャンヌだったのには驚いたというか、少し肩透かしを食らった。ただチエモンに影響されて黒くなってるだけなんだよなアイツ…。

 

 

そんで肝心の剣鬼ルートだが、思ってたより伊織がバーサーカーすぎて真顔になってしまった。staynightのHFルートと聞いていたが、どっちかっていうと士郎より言峰寄り。愉悦、感じるんでしたよね。

あちらは人々の幸福に対して苦痛を感じる異常者に対し、こちらは平穏な日常に対して苦痛を感じる異常者。戦えない事が何よりも辛く、強者との戦いを喜びとするヤベーやつ。「常在戦場」をめちゃくちゃ曲解するとこんな感じになるのか…?

 

そんでもって、作中を通して徐々に自分の異常性に対して開き直っていく流れ。中盤からは自らの五輪を「余分」とし、明らかに自分の在り方を自覚していた。

まああのエセ神父ほど自分の狂気に悩まされていない分、周りの人間から良い方向に誤解されて何とかなっている、という感じ。そもそも武蔵がマトモな人間なんかを弟子にとるハズも無く…。

 

そんで聖杯を残す理由が、せいぜい

「平和も大事だけど、戦いたいからしゃーなし聖杯を残して奪い合いを続けたい」

くらいのモンだと思っていたら、

「俺の為に、強者を呼び寄せるエサとして災いのタネである聖杯を残す。平和なんぞ知らん。」

というまさかのエゴ全開の理由だった。これはもう呼び捨てにはとても出来ない。これからは伊織サンと呼ばせて欲しい。目もなんかヤバいし。

 

これを踏まえると、武蔵の言う「生まれる時代を間違えた」も180度意味が変わってくる。

僕はてっきり「戦の世の中にも関わらず優しすぎる性格で生まれてしまった」という意味だと思っていたが、「平和の世の中にも関わらず剣の鬼として生まれてしまった」だったという。見事に騙されてまった。やはりミスリードが判明した時の快感は独特のものがある。マジか!と思う反面、心の中ではニッコリ。満足。

 

 

また、シナリオ中の各キャラの伊織サンに対する発言や、伊織サン本人の発言も(カヤ関連以外は)捉え方が変わってくる。

顔が暗くなるのは江戸市民が死ぬからではなく戦いが終わってしまうからだし、相手を理解して優しい言葉をかけられるも、相手を理解した上で斬り捨てる為の過程の一部である。いや怖すぎる。

 

しかし、上述した剣鬼の側面を他人の為に捨てられるのもまた伊織サンという男であり、聖杯を壊さないルートも彼の一面である。まあ本心は同じなんだけども。セイバーとバーサーカーFGO実装して欲しいナリ。

 

総じて、型月主人公らしくばちこりイカれた良いキャラだったと思う。それを巧妙に隠す1週目と、適度にネタばらしをする2週目、そして本質をブチ撒けるラスト、としっかり盛り上がって中盤以降は終始面白かった。

よくよく考えると『サムライレムナント』の意味とキャッチコピーの『君の願いを、斬り捨てる』を組み合わせると…、つまりそういうことである。何食ったらこんなん思いつくんだ。

 

 

 

終わりに

PVで抱いた印象より大分面白くて満足でした。

 

とはいえ¥9500↑、総プレイ40時間程度で(シナリオは)クリア、Switchのグラフィック等、諸々を考えると、Fate好き以外に勧められるかどうかは正直かなり怪しい。セール中とかなら結構オススメできると思う。シナリオはちゃんと面白かった為、ファンなら是非とも遊んでみて欲しい。

 

……となると動画サイトでムービーだけ見ればよくね?となってしまうが、僕はそれに対する反論を全く持ち合わせていない。このゲーム定価だとクソ高いし、ぶっちゃけそれでも良いとは思う。個人的には遊んでみて欲しいけどね。

 

あと今回は特に触れていませんが、キャスターの稗田阿礼の宝具がだいぶイカれた性能だったので未見の方は是非とも調べるなりして見てみて欲しい。俺ルール適用キャラがまた1人増えたね。

 

 

以上が感想でした。あーだこーだ書きましたが僕からは以上です。読んで頂きありがとうございました。

 

追記:なにやらFGOでサムレムコラボが決定し、本作にもDLCも出るらしいですね。楽しみ。

 

ichikasu.hatenablog.com

 

コラボは面白かったです。久々にFGOでイベント全部読み切った気がする…

 

↑このエンド無茶苦茶すぎて好き