6月の新作ゲームラッシュのメインディッシュとも言うべき『ファイナルファンタジー16(以下FF16)』。発売日からちまちまプレイし続け、先日ようやく1周目が終わった。
いざ終えてみると、やはりと言うべきか余韻が凄い。だからこそ終わらせたくなくてワザと終盤スローペースな攻略にしていたりもしたのだが、後続の新作ゲームもプレイしたいので渋々エンディングまで突っ走った。入れ込んでいるゲームの終わり際はついダラダラしてしまうムーブ、共感してくれる人は結構居ると思う。
とりあえずサブクエ全埋めでクリアした所感として、序盤~終盤までグラフィック、BGM、戦闘、ムービーどれも熱く、全人類にオススメしたい作品だったのだが、その後のエンディング付近の描写の薄さ、物足りなさが、人によってはまるで白紙の中心の黒点のような胸のしこりとなってモヤモヤが残ってしまうだろうな……と、そんな感想を抱いた。
ということで、ここからはそんなシナリオを中心に『FF16』の感想を具体的に書いていきたい。といってもそんなに深いことを言える脳ミソは持ち合わせていないので、どうぞ気軽にお付き合いください。
グラフィックとかBGMとか
FFといえばグラフィック!ということで、本作も例に漏れずグラフィックが凄まじい。毎作品言ってる気がするが、もう映画ですコレ。
風景の圧倒的リアルさは勿論、主要キャラの表情、微動作、目線どれをとってもキャラが生きているようにしか見えなかった。リアルすぎて逆に違和感を覚えるレベル。どこまで行っちまうんだスクエニ。
本作の見どころさんである召喚獣も、デザインとして納得感のある仕上がりとなっている。各ドミナントの特徴が反映されつつ、荘厳な雰囲気はしっかり保ったまま。そんなデザインだった。
そんな召喚獣がタイマンでガチンコやってくれるんだから、各章毎の召喚獣バトルは最高に盛り上がるに決まってるじゃないの。
「フェニックス戦凄かったな…。次の戦いはコレを越えられないんじゃね?!」
→「ガルーダ戦おもろすぎ!!フェニックス戦越えたわ!!」
→「ガルーダ戦凄かったな…。次の〜〜〜」
の繰り返し。前の戦いをしっかり越えてくる戦いがちゃんと用意されていて、ここがもうスンバラしい。話に連続性もあるので、本当に「ここでやめておこう!」と思わない限りは無限に続けられる。おかけでココ最近は慢性的な睡眠不足だった。
まあ唯一オーディン戦が「派手さ」という意味ではちょいとイマイチだった感もあるが、唯一辛酸を嘗めさせられた相手である上に、あの戦いは「人間を否定する元人間」に対してどのようなアプローチを仕掛けるのか、が焦点だと思う。
それに対して「顕現せず(=人間のまま)勝つ」というアンサーにはカタルシスを感じずにはいられないというもの。舌戦でもバルナバスを下していたし、中々見応えある戦いだった。
また召喚獣バトルの際のBGMもスンバラしく、各戦闘毎に全く違う曲が流れることには結構驚いた。なんなら各戦闘のフェーズ1,2,3でどれも曲が違ってたりと、かなり力が入っていた。
筆者はタイタン戦のBGMが好きで、特に3戦目はテンションぶち上がった。FFXの『other world』っぽさも持ちつつ、しっかり戦闘にマッチしていて脳汁が溢れて止まらなかった。最高。
他にも良曲揃いなので、後ほどじっくり聴いてみようと思う。
ゲーム部分について
前作『15』とは違いオープンワールドでは無くなっていたが、結果的にはこれで良かったと思う。というか1マップが広いのと爆速ロードのおかげで、実質オープンワールドと言ってもいいくらいだった。
基本的にメインストーリーは『13』のような一本道で、サブクエやリスキーモブで脇道に逸れる感じ。
オープンワールドの方が海外ウケは良いのかなとも思いつつ、JRPGキチの筆者としては大喜びのフィールドで大満足である。前述したグラフィックも併せて「最新作やってるな〜〜」感がちゃんとある。
しかし、マップの広さに対しての足の遅さがちょっと気になった。これは『14』でもそうなんだけど、絶妙にイラつくノロさで移動するのでめちゃめちゃモヤる。この移動速度は吉田Pのこだわりなんだろうか。
ワープポイントも少なく、かつ街中の移動速度がモヤモヤするスピードなので、特にサブクエ消化時の「うわダルっ」感は隠せない。タダでさえおつかいクエはちょっと面倒臭いのに、移動のダルさまでプラスされてしまい、こちらのやる気をガンガン削いでくる。
JRPGに限らず基本的にRPGの移動ってクソなので、その作業感の緩和要素が無かったのはちょっとだけ残念だった。割り切った結果なのか吉田Pの趣味なのかは神のみぞ知るところ。
戦闘は個人的にかなり満足。
途中何度かストーリーフォーカスで遊んでみたが、基本的にはアクションフォーカスで遊んだ。
特にパリィを覚えてからはSEKIROチックな戦い方もでき、戦闘にメリハリが付いて中々面白かった。各召喚獣のスキルも、ド派手かつ用途ごとに技が分かれていて、1つ1つ解放して使っていく楽しみもあり、総じて存分に堪能させて貰った。
筆者のお気に入りはオーディンで、各スキルをmaster化させて特化ビルドを組むのがかなり快適。
全体的にヒット数が多く、暗転して敵を切り刻む技もあり、とにかく気持ちいい。そして最後に斬鉄剣で締めるともう射精しそうになる。
他の召喚獣スキルのモーションがデビルメイクライっぽい中で、オーディンだけが明らかに無双ゲーのソレである。まあ火力自体は斬鉄剣に集約されてるせいか微妙なんだけども。
ちょっとクセはあるが超絶気持ちいいのでオススメです。
と、個人的には大満足な戦闘だったが、レベルや装備作成に関しては1周目だと存在する必要性を感じないのは否めない。
良くも悪くも低難易度だし、章ボスは召喚獣バトルで所謂イベント戦だ。故にレベルで詰まったり、敵に負けるというイベント自体が殆ど起こらず、これまた良くも悪くもストレスを感じないゲームデザイン。
そういう事情もあり、筆者は本作を「ゲーム」というより、「4Dの映画」のような見方をしている。インタビューでもストーリー重視との言及があった(多分)ので、恐らく制作陣もそういうプレイを想定して作ってあるのかも?
故に戦闘も、いかにクライヴがカッコよく敵を倒すか、またそれを簡単に再現できるのか、といった向きが強いように感じる。実際ガチャコンでも魅せコンみたいになるような技は多かった。
つまりは、戦闘すらあくまで「映像の1部」という解釈。ここの認識がズレると本作は凡作に見えてしまうのかもしれない。パリィを使いながら戦闘するとちょっとは和らぐのだろうか。根本的な解決じゃないからなんとも言えませんが。
何度も言うが、筆者自身は戦闘には大満足だったので、時間がある時に2周目をやりたいと思う。オーディンはもうちょい使い込む余地がありそうだし、シヴァに関しては殆ど使ってないし。でもやっぱ斬鉄剣なんだよな(ディシディア並感)。
シナリオやら世界観やら
今回のシナリオのテーマは「自己肯定」らしい。テーマ的に『ペルソナ4』が連想されるが、あちらと違い「汝は我」「お前はオレだ」「アンタなんか私じゃない!」といった分かりやすいヤツでは無かった。
そもそも自分を認めるというのはかなり難しい。できている人間なんてのは、現実はおろか、この『FF16』ですらほんのひと握りである。かく言う筆者も表面的な自分を肯定するばかりで、本質的には何もできていない。情けないがそんなモンだと思う。
だが難しいにも関わらず、生きていく上では非常に重要な事なのだ。ほんの少しの自己肯定だけで乗り切れたりする場面は、この20数年だけでもいくらかあった。俺が信じる俺を信じろ。
故に、他者からの肯定や承認を求めるばかりで、それに不釣り合いな「力」を手にしてしまったベネディクタ、アナベラは破滅してしまうし、自分の現在地を認めることができなかったフーゴもそうだった。アルテマもそうだろう。
だからこそ、弟を殺した自分と向き合い、理想を継ぎ、やるべき事とやりたい事を見据え、自分が周りに生かされていることを自覚し、そしてそれらを全て喰らったクライヴの「強さ」が光る。
揺るぎない自己を持つ。神に近い力を得た、という設定的な理由はあれど、クライヴがアルテマに勝てた最大の要因はソレだと思う。まあアルテマも「自我」を持った時点で人の身に堕ちているので、勝つのは時間の問題だったかもしれないが。
ということで、とにかくラストバトルは大興奮だった。まさにクライヴの集大成とも言うべき演出。見どころが多すぎるっピ!
また、恐らくだけど「生きる」もテーマに入ってるんじゃないかなと思う。それほどまでにヴァリスゼアは鮮烈だった。
「明日は我が身」を地で行く世界観、人を人とも思わぬ奴隷制度や、それに抗う人達、作物が実らない地域でも懸命に生きる人達、黒から逃れたい一心で生きるためにヴァリスゼアを生贄にしようとするアルテマ等々.....。
その辺はサブクエでガッツリ語られていて、まあ正直見ていてキツかったイベントもちょくちょくあった。しかしその甲斐?あってかヴァリスゼアの世界観を肌で感じることが出来たし、「生きる」ことの熾烈さを再確認させられた。
そんで、そんなヴァリスゼアを変えようと奮闘するクライヴの長き旅の終わりが、エンディング後にしっかり描写されているのも良かった。ちなみにあのエンディングだが、サブクエのイベントを見る感じだと恐らくクライヴは生きていて、ジョシュアは死んだままなんだろう。
そして、理が無くなり魔法が存在しなくなった世界で、クライヴとその仲間たちの神への叛逆が"架空の物語(ファイナルファンタジー)"として語り継がれているのも、それこそ『FF1』を連想させてくれる要素で、正直かなり感動した。著者ジョシュアなのはクライヴの粋な計らいというヤツか。
ナレーションの演出や、上記を踏まえるとこの『FF16』というゲームは、クライヴが書いた「ファイナルファンタジー」をプレイヤーが追体験するゲーム、という理解となる。……なるよね?
これ考えた時の前廣さん、気持ち良くなりすぎてゼッタイ射精してると思う。賭けてもいい。俺は花京院の魂を賭けるぜ。
ここまで褒めまくったが、ぶっちゃけエンディング付近の描写はもっとガッツリやって欲しかったというのが本音。ミスリードを狙ったのかは知らないけど流石にぼやかしすぎなんじゃないだろうか。
僕はハピエン厨かつカプ厨なので、『テイルズオブアライズ』みたいにもうクライヴとジルの結婚式くらいやっちまっても良かったんじゃねーか?!とか思ってしまうワケですよ。エンディング後の描写から大体分かるんだけど、いやもうガッツリやって下さいよォ〜〜(仗助)って感じだった。
まあ無いものねだりしてもしゃーないので大人しくDLCを待つことにします……。
その他もろもろ
- シナリオ全体としてはド王道ではあるものの、それ故にどこかで見た展開とかはある。まあ王道ってそんなもんだし、直球で面白いから王道と呼ばれてるワケで。
- 狂い火の王エンドという見方でもイケるか?!
- ジルのヒロイン感が薄いのはちょっと残念だった。ヒロインはトルガルです。
- ジル途中でリタイアするかと思ってたけどちゃんと生きててニッコリした。
- 道中拾えるアイテムがしょぼいのは明確な残念ポイントだった。
- 終盤貰えるアクセサリーの名前が「源氏の小手」。ニヤニヤ。
- アルテマウェポンは2周目以降らしい。見た目が気になる…。
- 語り部のレベルアップはFF1仕様だった。性癖でてますよ吉田さん。
- と、このように細かいFFネタが散りばめられていてニヤァ…となる。
- サブクエ全埋めして大体45時間ないくらいだった。意外と時間経ってない。
総括
大満足
神ゲーでした。
開発陣のこだわりをビンビンに感じる世界観から、ゆっくりだけど確実に成長していくクライヴ、派手かつ面白い戦闘、良曲揃いのBGM、圧倒的なグラフィックなどなど、挙げればキリがない。
とりあえずPS5買ったらこれやっとけ!と自信もって言える作品に仕上がっていて、楽しみにしていた甲斐があったというものです。
しかし何度も言うが、エンディングの描写の薄さはマジでガッカリしたので、そこだけはなんとかして貰えると更にいいゲームになりそう。あと移動関連も。
逆に言うとそこ以外は良かったので、まさにFFのナンバリング最新作に相応しいゲームになってるんじゃないでしょうか。『15』がアレだったから余計にそう感じるだけかもしれないんですが。
ということで今回はここまで。それでは。