暇日記

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『劇場版 名探偵コナン 緋色の弾丸』感想。元太のウナギへの執念にドン引きする。

 

『黒鉄の魚影(サブマリン)』がめちゃくちゃ面白いらしいですね。

しかし映画を観る頻度が年2,3回とかそんなレベルの人間としては、どちらかというと映画そのものより、映画公開記念としてサブスクでコナン映画が配信されるコトの方が有難かったりする。

コナン映画が毎年制作されている事実だけは知っているんだけども、実際に観たことがある作品は数える程すらないのが現状。具体的には『ゼロの執行人』と『紺青の拳(フィスト)』だけである。もちろん本編もほぼ知らない。

 

そんな筆者だが、ちょっとしたキッカケがあってサブスクにて名探偵コナン 緋色の弾丸』を観ることになった。諸々の予備知識を友人から教えて貰いながらの鑑賞は、久々のコナンだったこともあり、とても楽しい体験だった。

何より、久々に悪役以外の池田秀一さんボイスを聴けたことに満足した。やはりシャアというキャラのパブリックイメージとして、なんとなく悪役が想起されているんだろう。まあガンダムと敵対している赤い1つ目ロボットを操ってるんだから、そうなるのも仕方ないことである。

あと赤井さん関連で言うと、変装してる時は声も変わるのがちょっと驚いた。トレーズの声でめちゃくちゃメインキャラみたいな描写をされていたので、最初の方は「あれ?この人って赤井さんじゃないの?シャアの声じゃ無くない?」と脳みそがバグった。1粒で2度美味しい男である。

 

劇場版「名探偵コナン緋色の弾丸」 (通常盤) (DVD)

 

かんそう

さて、そんな本作全体の率直な感想として、大きな話の粗も無く、ド派手アクションもしっかり備えていたのは素直に良かったし、面白かったと思う。

しかし事件解決までの流れやストーリーそのものには、どうにもカタルシスが薄く、若干間延びしているような印象を受け、総合的に見ると少しガッカリしてしまった。

個人的に、赤井ファミリー集結!という開幕のナレーションからは「赤井ファミリーが連動して事件を解決する」ストーリーを期待していたが、本作ではどちらかというと「赤井ファミリーが個々人でやるべきことをやった結果、事件が収まった」という、ちょっと期待とは違う映像が出てきた。

それぞれで「ああ、これは赤井さんしか出来ないな」「ここは瀬良ちゃんが適任だ」「これは秀吉ならではだな」という具合に、その人しか出来ない役割はしっかりある。あるんだけども、それぞれのイベントに独立感があり、事件解決という「一点」に向けてあまり絡まない。

あくまでその時その時で適任の人に対応を任せるといったスタイルで、黒幕逮捕に向けて収束している感があんまり無い(一応黒幕は秀吉の案で追い詰めた)。そして、最後まで線と線とが交差しないまま映画は終わってしまった…といった感じ。なんとなくモヤモヤが残ってしまう。やはり黒幕が2人いるのは盛り上がりポイントが分散してしまうので、その分カタルシスが薄くなってしまう気がする。

そもそも毎年制作の映画に対して期待しすぎなんだろうし、そのことは重々承知なんだけども、なんというか、こう、赤井ファミリーが個々人でやったコトが絡み合い、大きなうねりとなり、結果パーフェクトに事件解決!という「あー!ここがこう繋がるのか!」というような映像が観たかった。東京五輪やらコロナやらで、おそらく制作上の縛りも多かったであろう作品なだけに同情はするが、やはりコナン映画である以上、そのあたりの話運びの上手さを見せつけて欲しかったのは本音だ。

 

……とは言ったものの、シナリオ以外の面ではかなり楽しめた。特にラスト30分辺りのド派手アクションシーンは、興奮を通り越して最早大笑いしていたし、赤井さんの常軌を逸した射撃精度には頭の上に「???」を浮かべつつも大爆笑だった。灰原ちゃんの正妻ムーブもしっかり描写されていたり、少年探偵団の面々もしっかり手柄をあげていた。といった具合に、イベントそれぞれについては大満足だ。

個人的に1番好きだったのは、東京五輪が開催される年にも関わらず、容赦なく五輪スタジアムをブチ壊す映像をしっかり世に送り届けるという制作陣の気概だ。そしてその事を恐らく何の歯牙にもかけていないであろうコナン君達も良かった。

今回の件で、作中の東京五輪(WSG?)は恐らく開かれない流れになると思う。脱線するリニアモーターカーが付近にあるスタジアムに誰も行きたくないだろうし、何より小学一年生のキックで破壊される電車に乗りたくは無い。果たしてアレの被害総額はいくらなんだろうか。

そして蘭ちゃんはいい加減コナン君が只者では無いことに気づくべきだろう。あの距離、あの高さで落下する電車の先頭車両に居てあの怪我はどう考えても人外すぎる。元太も映画の度に「すっげー!」と言っているが、1番すっげー!なヤツは案外すぐそこに居るぞ。

 

その元太も、本作序盤で大活躍だった。攫われた被害者を追跡するイベントで、ウナギ料理を運ぶ台車に被害者を乗せて攫ったというのが真相なんだが、まさかウナギの匂いだけで被害者を発見するとは思ってもみなかった。大気中の匂いのみならず、地面に染み付いた匂いまで正確に嗅ぎ分けるその嗅覚たるや、圧巻である。一体何者なんだ。まさか黒の組織のボス…?

また、この際に発見した犯人の着ていた服のサイズが大きめだったことから、「じゃあ犯人コイツしか居ないやん」となるのもガバガバすぎて一周まわって面白かった。まあこの辺はそういうモノなんだろうと割り切るしかない。

 

犯人は犯人で、FBIトップの運転技術を持つ人を圧倒するドライビングテクニックを披露していたので「コイツ本当にエンジニア職なのか?!」となったし、どう考えてもソレ系の職に就いた方が職業適性は高いんじゃないだろうかとも思った。

この肥満体型でアクションは無理だろうしひょっとしてコイツ犯人じゃないのでは?とも思ったんだけど、そこに対しての解答がまさかのカーアクションだったことには素直に驚愕。しかし、それにしても相手が相手だけに、相対的にこのデブの人外レベルが尋常じゃないことになっているのが面白い。まるでうちはイタチである。

 

そして最後に、やはりコナン映画特有のド派手アクション、人外アクションは語るに外せない。

リニアモーターカーに乗り込む際の、「サッカーボールをキック力増強シューズで天高く蹴りあげ花火にして、周囲の気を逸らしたうちに忍び込む」手段にも「???」となっていたが、何より筆舌に尽くし難いのは赤井さんのその狙撃精度だろう。

時速1000kmで走る電車に、後追いで磁力の影響を受ける弾丸を撃ち、電車を追い越すスピードの弾を犯人の胸部に正確にヒットさせたそのウデマエは間違いなく国宝級。そんなことを大真面目に提案できる頭脳も国宝級だ。

また、いくら薄い素材で出来ている電車であろうと、小学一年生がキックしたサッカーボールが貫通してぶっ壊れるのは、やっぱりどれだけ真面目に鑑賞してても笑ってしまう。阿笠博士ってやっぱスゲーよ。まさか黒の組織のボス…?

そして再三言っているが、時速1000kmで走行している電車をサッカーボールで減速させるのはもう絵面が面白すぎるし、結果減速しきれず脱線した電車がよりにもよって東京五輪スタジアムに突っ込むのも面白すぎるし、その電車の先頭車両に居る小学一年生がかすり傷程度で済んでいるのも面白すぎる。

しかし、「いや、そうはならんやろ」を全力でやってくれるのがコナン映画の良いトコロであり、そのツッコミをしたり顔でするのは野暮というもの。ここは「アドレナリンどばどばでめっちゃ満足した!」という感想を残しておく。

 

 

最後に

『紺青の拳』以来のコナン映画でしたが、鑑賞後の余韻は独特のものがありますね。満足です。

どんだけ推理が雑でも、一定の面白さを毎年供給してくれるのは素直に凄いことだと思うし、だからこそ毎年とんでもない興行収入が発生しているんだろう。

あと、恐らくコナン映画は映画館の音響で鑑賞した方が楽しそうだし面白そうなので、『黒鉄の魚影』は映画館でやってるうちに観にいきたいと思いました。今年の映画は「江戸川コナン、探偵さ」が聴きたいなァ。