毎朝のルーティンとして「ジャンプ+」を読む人って割と多いと思う。かくいう筆者もその1人で、いつも通りアプリを開いてみると、
読み切りです!描きました!
— 莎々野うた (@sasano_uta) 2023年3月12日
よろしくお願いします!
純愛のお話です!
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こんな漫画が。「読み切りなんて久々に見た気がするし読むかあ」と、サッと読了。面白かったです。朝からいいモノを読めました。
まず女の子が(絵として)可愛いのが良かった。俗物な自覚はあるんだけども、やっぱり恋愛漫画において女の子がしっかり可愛いってのは凄く大事だと思う。男の方が鹿やら狼の顔してるってのもあり、僕の視線はほとんど狩谷さん(主人公)に吸い寄せられてました。
男だけ頭部分が鹿か狼で、更にこのタイトルなので、最初は「どんな猟奇漫画が始まるんだ…」とか思ってたんだけども、そう見えるのは狩谷さんがそう思っているからってのが序盤に分かり(読者視点=主人公の視点)、ちょっと安心。
とはいえ、それにしたって初っ端から「鹿野くん(彼氏)のことが 食べたい」にはビビってしまう。これはどうやら「キス=彼と同化=体内摂取」という方程式から来ているらしい。狩谷さんは少女漫画脳な乙女チックな女の子であり、王子様とキスをするのが夢。しかしそれと同時に妄想内では、鹿野君を銃や刃物で狩りバチコリ捕食しているのでいや怖いわ!!となる。例えるなら『スケダン』のロマンを超強化した女。遅れてメンゴ☆
初めのうちは、あくまで比喩的な表現で「食べたい」なのかなとも思っていたが、結構ガチで食べたかったらしく、デート中も鹿野君を食べる為にあえて腹を空かせていたり等、とにかくヤバい。
大昔にヤンデレブームなるものが存在したが、その時ならいざ知らず、この令和で再びコテコテなステレオタイプのヤンデレを拝めたのが何よりの喜びだった。妄想と現実の境界が曖昧になっているのもソレっぽく、しっかり病んでる。メンヘラとはまた違う属性なのよ。
本来ヤンデレとは病んでいく過程こそが可愛いモノであり、刃物を持ってる女の子が可愛いとかそんなモンではない。言っちゃあアレだけど、多くの作品がその辺を履き違えてたりする中で、本作はそこに関して若干変化球気味ではあったがしっかり描写されていて、明らかに「分かってる」感があった。
残念ながら筆者は男なので感情移入することまでは出来なかったが、スラスラと楽しく読み進めることが出来たのは「本物」と出会えた喜びのようなクソデカ感情による部分がデカいと思う。朝から実にいい気分でした。
それにしても少女漫画というコンテンツに殆ど触れたことが無いので、これを機にいくつか読み漁ってみるのもアリ。「こういうのを読んでたらそーいう思考になるよなァ…」を体感してみたい。筆者の知る少女漫画といえば、実写版の告白シーンでライアーゲームのBGMが流れる動画しか知らないので、これはもう少女漫画=ライアーゲームのBGMの図式になってしまうのは仕方ないと思う。この告白には、必勝法がある…デーデデデーデ
狩谷さんが単純に可愛いのとは裏腹に、彼ピの鹿野君がそのまんま鹿の顔だったのも良かった。単純に鹿野君以外は全て狼なので視覚的に分かりやすいのもあるし、何よりつぶらな瞳がチャーミングでほっこりする。ユルい2人の見た目とは裏腹に、とんでもねえ殺害計画が練られているこのギャップよ。ギャップ萌え、という言葉があるように、ギャップと恋愛は強い結び付きがある。人類は根源的にギャップというモノに弱いのかもしれない。知らんけど。
また、鹿野君が鹿のおかげで余計な感情移入せずに済むというメリットもある。
この子は本編中、恋愛脳からくるちょっとクサいセリフをガンガンぶち込んでくるので、顔があるとかえって邪魔になってしまうが、鹿の顔になるとそれが一転し「まあ鹿だしなあ…」と適度に脱臭されて程よい感じに。なんなら鹿だし何言ってもいいだろ理論でバリバリ喋りまくるし、表情もコロコロ変わるのも面白い。それだけじゃなく、キッチリ筋を通しつつも要所でしっかりやりたい事を素直に言ってるのも好感持てるし、メンヘラめんどくせーとはならずメンタルケアをバッチリ行ってるのも良い。
なお本編中で素顔に対しての言及があるが、どうやら「ブサイクオタク恋愛脳」という中々に苦しい属性がてんこ盛りらしい。その術は俺に効く。その情報を頭に入れた上でもう一度読み返してみると、話し始めに「アッ」が入ってたり、急に語気が強くなったり、自分が話すターンになったら途端に早口になっすいませんもういいですか勘弁してください。
……とまあこんな感じで中々に可愛いヤツだった。しかしコレ、初見だと意外と気づかない(筆者だけ?)。そもそも僕がパラ読みしがちなのもあるんだけど、やはり鹿の顔があまりにもデカいんじゃなかろうか。鹿=陰の者 とはあんまりならないので、無意識にそういったセリフや仕草を除けて読んでしまうし、読み返した時に2度美味しくなるし。鹿だけに。
狩谷さんと鹿野君が話している時、ちょいちょい鹿野君が人間の顔になるのも味ポイント。狩谷さんのトラウマが段々と払拭されていってるってコトなんだろうが、素直に「お前やるやんけ鹿野ォ!」となるし、「お前のそういうとこが好きなんだよ!」となる。知らず知らずのうちに狩谷さんを救っちまうんだ鹿野ってヤツは。そしてあのサッパリしたラストに繋がってくるというワケ。
結局、鹿野君の顔が見られないのも良い。厄介なヤツだよキミは!その身を食い合う!って感じで…。ただ1つ言えるのは、もしかすると僕の姓は鹿野だったのかもしれないということだけだ。
そんで結局この作品の何が好きなのかって所で、作品全体に滲み出てる優しさのようなものが僕的に好きなんだろうなと。狩谷さんはどれだけ病んでも鹿野君がしっかり肯定して受け止めてあげているし、鹿野君も下心はしっかりあるんだけどもそれを良しとされる、そんな雰囲気を作品全体から感じた。その辺、2人の相性は良いんだろう。恋愛はやはり相性なのかもしれない。
あとマジでどうでもいいんですが、これ読み終わったあと脳裏に「NTR」の3文字が浮かんでしまった僕は氏んだ方がいいんでしょうか。あまりに俗物すぎて自分でも笑ってしまったんだけど、一般メンヘラヒロインだったら割とありえそうで悲しい。しかしまあ、狩谷さんは変化球メンヘラだし、鹿野君は俺が認めた男もとい漢なので大丈夫だ。お前はいつも俺を驚かせてくれる。これからも期待しているぞ、鹿野よ。
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この手の恋愛漫画を読むと、あまり普段は読まないのもあって、どうにも男側がいかに漢らしいかについて注目してしまう。仮面ライダーやらバトル漫画やらスポーツ漫画やら、普段からガキの好きそうなモンばっかり見てる弊害ですね。
「これも一種の読み方」と思って最早開き直っているのだけど、たまにゃあ違う視点も欲しくなったりする。少女漫画、読みますか…。
ということで今回はここまで。それでは。