暇日記

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『Tales of ARISE – Beyond the Dawn(ビヨンド ザ ドーン)』感想。自分の舵は、自分の意思で取るモンなのさ【ネタバレあり】

 

そのあまりにも熱すぎて青臭さに片足突っ込んでいる(褒めてます)展開と、反比例するかの如くシリアスなシナリオや設定、そして唐突に和ませにくる笑いに特化したスキットや掛け合い。これらが絶妙な化学反応を起こし、「懐かしいんだけど新しい」という独特の味を生み出している。これが『テイルズオブアライズ』に対する僕の印象である。

 

約2年ぶりの『アライズ』ということで、本DLCは発表から発売までずっと楽しみにしてきた。

アライズ=新生ということで、テイルズシリーズの新生を謳った本作。ゴッドイーターを捨てた富澤Pがどんなモノを生み出すのかと思えば意外や意外、新生という割にはかなり原点回帰を狙った作品に仕上がっていて、僕自身すごく驚いたと共に「これがやりたかった!」と狂喜乱舞したのは記憶に新しい。

 

筆者的にテイルズは「シナリオが良く、戦闘がちょっと面白いキャラゲー」という認識なので、その部分が本編や今回のDLCで開発側との解釈一致を確認できたので安心。

僕は『ゼスティリア』未経験の民なので当時の空気感とかはよく分からないんだけども、『ベルセリア』と『アライズ』で、(世間的に)ある程度の信頼は回復出来たんじゃなかろうか。いやそんなことはない?そうですか……。

 

そんなゲームの追加DLCということで、否が応でも期待してしまう。戦闘面のアプデは別にどーでもいいが、シナリオとキャラの掛け合いについてはある程度期待に沿ったものを出して欲しいと思ってしまう。

「アルフェンとシオンがイチャつきつつ、仲間6人でダナレナの融和を目指して旅をする」だけのDLCでも全く問題ないモノを、敢えて新キャラを出してガッツリやるんならそれに見合うだけのシナリオを期待してしまう、というワケだ。

 

前置きが長くなったが、今回はその新規DLC『Beyond the Dawn(ビヨンド ザ ドーン)』をひと通りクリアしてきたので、その感想を書いていくよ。ネタバレはガッツリあるのでご注意下さい。

 

 

 

メインシナリオ

とりあえず起動すると早速アルフェン達のイチャイチャを見せつけられる。その後なんやかんやあり、高等民族レナ人のガキを追ってきた劣等民族ダナッパリのモブに絡まれるまでがセット。

話を聞いている感じだと、ダナとレナの物理的な壁を壊したまではいいものの、人種間の確執としての「壁」は未だに根強く残っているらしい。まあ差別側と被差別側の確執なんてのは、現実でも早々に埋ることは無いワケである。

起動して早々にヘイトスピーチをブチかまされる辺り「戻ってきた!」って感じがしました。

 

 

それにしてもこのモブ、だいぶ目がイってる。開幕笑いそうになったのは僕だけじゃないハズ。また事前情報によると、この追っかけられてた高等民族レナ人のガキ、もとい領将の娘であるナザミルが重要人物とのこと。

先に言ってしまうと、このDLCはナザミルをどれだけ好きになれるかで評価が大きく変わってくると思う。素直ないい子なので嫌う人はそんなに居なさそうではあるが、その境遇を考慮してもなお友達の話聞かなすぎじゃないか?!と思ってしまったシーンもある為、人によってはモヤッとしてしまうキャラかもしれない。

 

 

当然どの領将の娘かという話になるが、まさかの水の領将らしく、「ヴォルラーンの子供ってコト?!」と大笑いしそうになったが、どうやらヴォルラーンの前任(前任を頃してヴォルラーンが領将の座に就いた)の娘らしく、ダナとレナの混血で、更に"王"の調整体らしい。盛りすぎである。

 

そんでもってニズの現状を説明されると共に、世界の現状についても説明を受ける。やはり見えない「壁」は依然存在するらしく、大体の土地ではダナレナで分かれて暮らしているようだ。

アルフェンはダナの英雄とされ、有名人というよりは偶像寄りの存在になりつつあり、テュオハリムもレナ側ではそんな感じらしい。ここをどう吹っ切るのかも本DLCの見どころである。

こういう状況って、共通の敵が現れてなし崩し的に団結する流れでもないと和解のキッカケなんて中々作りづらいよなァ……とか思ってたら本編の内容は大体そんな感じで逆に安心した。言論のみの平和的融和なんてウルトラCは現実でもまあ見ないのでそういうことなんだろう。人間が人間である以上これは仕方ない。

 

 

その後話が進み、当面の目標は外廟と呼ばれるヘルガイムキルの遺産を全て封印することらしい。

ちなみにヘルガイムキル自体はまっったくシナリオに絡んでこなかった。てっきり、最終的にヘルガイムキルが目覚めて世界中で暴れ回っている状況を、6人の仲間+ナザミルでどうにかするぞ!的な話になると思っていたので、その目測はカスリもしなかった。そりゃそうだ。

 

もっと言うと、今回はがっつり人種差別の話。

アライズ本編では人種差別、環境問題、エネルギー問題、戦争問題といった、歴代テイルズが描いてきた時事ネタをほとんど取り扱っていて、だいたい総プレイ60時間くらいに収まるゲームだった。

DLCではそれが人種差別に絞られている結果、総プレイ20時間前後といったところ。なのでプレイ時間に対しての(シナリオ内容の)消化不良感はほぼ無く、アライズらしさをギュギュッと詰め込んだ良いシナリオになっている。それぞれの要素を削ぐのではなく、要素そのものを削いで一点特化させるというアプローチ。良いと思う。

 

↑やっぱグラサンよ

 

その後お互いに親交を深めていくが、(仕方ない事だが)ナザミルが世間を知らなすぎる故にすれ違いが発生してしまい、どんどん暴走していく…というお話。

お互いを想い合っているハズなのにすれ違う、という描き方は実に人間らしくもあり、本編終盤でヴォルラーンに突き付けられた「考えの押し付け」という命題に、未だにアンサーを得られていないことの証明でもあって。

これは本編モヤモヤポイントの1つでもあった為、ちゃんと扱ってくれるのは嬉しい。

ヴォルラーンに本当の意味で勝ったと言えないエンドでモヤ〜〜っとした後の、EDの結婚式でそんなもん全部吹き飛ばす圧倒的エモさでバランスを取る、という力技で解決?していた議題の為、ハッキリさせてくれるのは良いですね。

 

 

ナザミル失踪後はアルフェンのお話。

偶像としての扱いを受けがちな現状にモヤりつつ、自分の原点を思い出す流れ。「俺は炎の剣でも英雄でもない!」「俺はアルフェンだ!」と若干懐かしさを感じるイベントを経て吹っ切れ、その後ナザミルと対峙する。

この辺りは、作品は違うが何となく『仮面ライダーオーズ』を思わせる。「人が人を助けていいのは自分の手が届く範囲まで」「"炎の剣"は神様じゃない」。人は独りでは生きられない。だからこそ手を取り合って生きていかなきゃだし、世界復興なんて夢のまた夢である。

こういった普遍的なメッセージに落ち着くのは(僕の中で)良作の特徴であり、やっぱり今回のテイルズは良い作品だと思うのだ。

 

 

そんなこんなでナザミル初戦。女の子1人相手に6人でガチ殴りしに行くのはどうなんだ?!とも思ったんだけど、思った以上にナザミルがバケモンで納得だった。

ここで負けイベントが発生するが、初見だと頑張れば勝てるのか負けイベなのか判別しづらい。調べてみるとナザミルの炎の剣で強制的にヒットしHPが0になる仕様らしい。

いくら領将の娘でダナとレナの混血とはいえ、ここまで強いものなの?と思わなくもない。まあサイヤ人と地球人の混血もエグかったしそんなモンかもしれない。

 

 

敗北後はナザミルの考えを知らされる。

仮面を使って世界中の人々の脳内をナザミル化することで、「皆がアルフェン達を好きになる」状態にし、諍いを無くすという超力技。当然それはダメだ!となるが、この時に頭ごなしに否定し拒絶してしまった為、「アルフェン達に嫌われた…」とナザミルのメンヘラが発動してしまい、暴走していく流れ。

どうやら、自我を消せば痛みも悩みも消えるから平和になり皆幸せになる、という方向で話を進めたくなったらしい。それくらいアルフェンに拒絶されたのは「痛」かったのだ。まあアルフェンも最近まで痛みが分からなかったし仕方ないわな(畜生)。

 

ということで、アルフェン達はここでも「考えの押し付け」問題に気づけずに逃がしてしまう。このちょっとずつ成長していく感がたまらんです。
そんでもって、最初のダンジョン付近の明らかに意味深に放置された転移装置を使って最終ダンジョンへ。

例によって属性巡りをした後にラスボスへの扉が開かれる仕組み。まあいつものヤツ。

道中でアルフェン達6人分の似顔絵が貼ってあり涙腺をジワジワ攻めてくる演出。こんなダンジョンのこんな場所に寝泊まりしたのか…?という野暮すぎる疑問はとりあえず置いといて、どれだけナザミルが初めて出来た友達を大切にしているかを思わせるシーンであり、ちょっと泣ける。

 

 

意外と上手い。

また、クリア後に知ったが、まさかの最初の扉に魔装備が6人分あって爆笑した。これダンジョンくまなく漁るタイプの人だったらラスボス前に雰囲気ぶち壊しになると思う。

 

そんでラスボス前の長階段のスキットではヴォルラーン戦や前回の事を反省し、無理やりどうこうするのではなく、ナザミルの仮面は自分で外させる方向に。正論マンはいつの時代も好かれない。

相手を受け入れつつ、かと言って自分の芯は曲げないコミュニケーション能力が重要、ということで最近はゲームでもコミュ力重視の風潮がきているらしい。なんだが間接的に僕も怒られている気がして、プレイ中チクチク心が痛かった。辛い。

 

 

そして大トリのナザミル2戦目(ラスボス戦)。初戦と同じく無力化して説得しようという流れ。

なんとかHPを削りきってナザミルの本音を引っ張り出しかけるも、仮面の力なのか星霊力なのかは分からないが、急に冷静になり、突如暴走し怪物へと変貌。

仮面の影響下でもナザミルの意識が生きていることは直前で判明していたので、なんとか対話すべく、各メンバーが各々に思いの丈を叫びながら戦う という演出。以下抜粋。

 

「己を顧みぬ者に他人を幸せになど出来ん!」「アナタの居場所はここにある!」「間違いを正すのは友達の務めだ!」「俺たちにとってナザミルはお前だけ!仮面でいくら増えたって意味は無い!」

 

あ、青臭〜〜〜!!!!!!!

だがそれでいい。というか、なんならコレを見に来たまであるし、

また、ブーストストライクを特殊セリフで全員分ぶっぱなす演出、ベタだけどめっちゃ好き。ゴッドイーターの時から思ってたけど富澤Pこういうの絶対好きだろ!!

 

 

そんなこんなで何とかラスボスを倒すものの、再び星霊力をかき集めて更に強くなり復活。

しかし直前の問答で、怪物とナザミルの意識が分離している事を確認していたので、

 

アルフェン「なら、後はナザミルが外に出るだけだな!」

♫ I want to feel your〜 ♫

 

うおおおお!!!!!!ラスボス戦の〆に『HIBANA』というあまりにも熱すぎる演出。ベタベタだけど死ぬほど大好き。嫌いな人類いないだろこんなん。

更にここから熱い演出が畳み掛けてくる。「外に出るのが怖い」と言うナザミルに対し、

 

「それでも!踏み出して欲しい!」「自分が何者なのか、そろそろ自分で決めても良いんじゃないか?」「私たちはお前の友達だから!何も無理強いはしない!」「友達って対等な関係だからね!」「言いなりになるのは、友達って言わねーよな!」

 

あ、青臭〜〜〜!!!!!!!

だがこれでいいこれがいい(2回目)。そしてこの土壇場にきて、本編でジルファの「アルフェン、俺の"奴隷"になるなよ」が想起されるという激アツ演出。

やはり頭ごなしに「押し付け」る関係であれば、それを受けるにしろ受けないにしろ対等ではない。この事に、このタイミングで気づけるのが我らがアルフェンという男なのだ。そしてここでアルフェンが克己した話もガッツリ活きてきて、鳥肌に鳥肌が押し寄せてくる。

曰く、ナザミルが怖いのは自分を持っていないから。他人に押し付けられた「仮面」から自分を自由にしてやることから始めよう。とのこと。

 

「俺の"奴隷"になるなよ」、この言葉を貰い、自己を変え、世界を救い、そして人に伝えることができるようになった。ジルファも満足だろう。

 

 

そういった問答の後、パッケージイラスト再現からの「壁を壊す!」で撃破。ナザミルは自分で「仮面」を外し、仲間の元へ帰るという流れ。涙ほろり。ED後では、アルフェン達から一旦離れて、世界中を見回りつつ自分を自分で満たすところから始めるとのこと。

そんでもって仲間たちは再び分かれつつ、シオンとアルフェンの結婚の話を匂わせながらナザミルの1枚絵でエンド。最高。

 

 

総じて、相変わらず設定の唐突さや明らかに説明不足な部分は多少あったものの、それを上回る激熱い展開と演出でコーティングしてあるアライズらしさ満載のシナリオだった。少なくとも僕は好き。買う価値はあると思いました。

また作品は違うが、終わった時に「自分の舵は自分でとる」というテーマがピッタリなシナリオだなとも思った。今回は更に踏み込んで「依存」の話にまで触れられていて、種族が違うとはいえフィーはメンタル強かったんやな…ってなる。

なお今回はアニメが無かったのもイイ感じ。本編だとアニメになるとテンションが下がる謎作画だったので英断だと思う。

 

 

 

その他

戦闘面はほぼ変化なし。特にラスボスはセリフも長いからかとにかく体力が多い。この辺は本編同様で、不満はなくも無いがまあ赦す。

 

サブクエは相変わらず凝っていて面白かった。パンケーキ作りみたく、ミックスジュース作りも良かったし、美食屋のオッサンの話も満足。

EXクエストで結婚式の過程が描写されてるのも良かった。ただ正直ちゃんと最後まで描き切って欲しかったのも本音ではある。やっぱあの時ナザミルが写ってないのがどこまで行っても足を引っ張るなァ。あと唐突なヌシ要求についてはフクロウの杜での購入をオススメします。これが分からずちょっと時間を食ってしまった。

 

 

また個人的に、サブクエは道中に消化するのをオススメしておく。世界観とか気にしない人はいつでも良いと思うが…。

というのも、クリア後は例によってラスボス直前で世界が止まる為、なんか変な仮面付けてる集団が街に居る最中でミックスジュース作るぞ〜〜!とか始め出して、いやそれどころじゃなくね?!となるからだ。

正直、今回のDLCだとクリアしたら普通にその後の世界でゲームさせて欲しかった。ダナレナ融和の過程とかもうちょい見せてもいいのよ。

 

最後に、恋愛描写はしつこいくらい沢山あるので、合わない人は合わないかもしれない。僕は本編でもちょっと目に付いたので、DLCではもはや食傷気味だった。

 

↑いい笑顔だ

 

 

終わりに

大満足でした。

賛否両論あるみたいですが、ピ側の大体は戦闘に関するモノのようですね。そこは全く擁護出来ない。

早い話が、アライズ本編をマイナーチェンジしたようなシナリオだったので、本編好きな人は絶対好きだと思います。青臭すぎて無理だった人は多分買わなくても良いんじゃねーかな……。

 

20時間くらいとはいえ満足感がすこぶる高く、なんならまだアライズ世界に浸っていたいので、本編のEXニューゲームを本気で考えてるまである。とりあえずテイルズ新作を早く出してくれ富澤。

 

 

わーわー騒ぎましたが、そんなこんなな感想でした。また何か思いついたら追記します。読んで頂きありがとうございました。