『モンハン』がヒットしてから、数多の狩りゲーが産み出されては消えていった。『ゴッドイーター』『討鬼伝』『ラグオデ』『ソウサク』等々、どれもこれも割と似たようなゲーム性(モンハンをブラッシュアップした感じ)で展開されていたが、携帯機の衰退と共にこれらも尽く死滅。唯一頑張っていたゴッドイーターは、ソシャゲとメインシリーズどっちもコケてしまったので、最近だとめっきり見かけないコンテンツとなってしまった。
そんなこんなで狩りゲー=モンハンという図式ができあがり、「モンハンか、それ以外か」という某カリスマのような状況になってしまった。更にダメ押しとばかりに『MH:W』にて海外進出まで果たし、その地位は磐石なモノとなったワケだ。Googleの検索サジェストに「狩りゲー モンハン以外」という単語が並ぶくらいには1強状態である。
そんな王者に喧嘩を売るタイトルこそが、先日発売された『WILD HEARTS』だ。制作は「コエテク×EA」のタッグ。
しかしこの令和の世で、よりにもよって狩りゲーというジャンルで、更に新規IPという、誰がどう聞いても「正気か?!」と言いたくなってしまうタイトルではある。筆者はそう思ったし、ワイトだってそう思うハズだ。
まあそれだけ自信があるんだろう、と思いつつプレイしてみた素直な感想としては近年の覇権ゲームの良い所を、節操なく既存の狩りゲーのフォーマットにぶち込んだ、寿司とラーメンと牛タンとカレーを特盛ウニ丼に乗っけてオマケでキャビアをトッピングしたようなそんなゲームでした。正気か?!
ということで今回はその食レポ、もとい感想レビュー記事です。言い忘れてましたが今回はPC steam版の感想レビューで、主に戦闘関連のお話が多めです。ネタバレはほぼ無いですが終盤付近の大型モンスターは1体だけ紹介してますので、知りたくない方はブラウザバックをお願いします。
不具合等について
まず始めに、気になっているであろう巷で叫ばれている不満点から解説していく。主に不具合と動作の重さの2つ。まず不具合の方から説明すると、まあぶっちゃけ
不具合は結構あるよね。
具体的にはモンスターの瞬間移動、拠点に戻った時明らかに変な挙動をして動けなくなる、蘇生モーションのままキャラが固まってしまう、マルチルームに入ったら固まる、等々。
頻度は大体2日に1回は何かしら起こるレベルで、正直もうちょいなんとかならんのか?!と思ってしまうことがある。
↑拠点に戻ったら浮いてて動けなくなった図。再起しかないですね、、、
画面のカクつきも結構酷く、マルチをやる時は更に顕著。分かりやすく言うと『MH:W』をPS4でやった時の、あのカクさ。なんかちょっと重いな〜って常に感じてるあの感じ。
設定でグラフィック関連を全体的に下げると少しだけ安定するが、それでもカクい時はカクい。その時のCPU使用率は大体エグいことになってるので、恐らく最適化されてないんだろうなと思います。最近はいくらかマシになってきた感はありますが、それでも気になる人は気になるかも。PS5で買っとけばよかった…。
↑このテクスチャが粗い感じ伝わるかな…、伝われ(豹変)
個人的には、これらは「ンマーーーー新規IPだしこんなもんっちゃあこんなもんか…」と割り切れるくらいのレベルではある。EAだし。しかし、一応¥9700という、ソフトにしては比較的デカめのクレジットを払っているのも確か。うーん…。
ということで、不満についてはこんな感じです。正直これが原因で買わないのも理解できますね。ただゲームの中身自体はかなり面白く、次の項からは手のひらを返していきますぞい。
↑ちなみにキャラメイクは結構自由度高め。
概要のような何か
本作のジャンルは「ハンティングアクション」。いわゆる狩りゲーで、プラットフォームはPS5とPC。最大3人までのマルチプレイも可能でクロスプレイもある。
仮にも令和の新規IPなので、「新感覚狩りゲー」のようなモノを期待する人もそれなりに居ると思う。PVからも期待する所だろう。しかし最初に1つ言っておくと、残念ながらそんなことは無い。本作の骨格を先に述べておくと、
- 狩猟
- 装備作成
- クラフト要素
- マップ探索
- アクション
大まかにこの5つであり、これらを楽しむゲームである。シナリオは知らん。
1つ1つの要素を紐解いていくと、1,2は言うまでもなくモンハンの、3はフォートナイトの、4は原神の、5はエルデンリングの風味をそれぞれ感じるし、更にそのどれもがオマージュ元のゲームにかなり近く、最早隠そうとすらしていない節がある。良く言えばオマージュ、悪く言えばパクリ。
↑ちなみにシナリオはマジでフロムっぽいので、そこまで真剣に考えなくてもいいです…
しかし、それらを節操なく全てぶち込んだ結果の化学反応は思った以上のモノがあったのかなと。そんでもって、クオリティの高いオマージュがここに来て光ってくるワケです。
そりゃあ、「クラフトで自由に移動できつつ、探索もガッツリ遊べるマップが舞台で、エルデンのアクションで遊ぶ、ちょっと歯ごたえのあるモンハン」は面白いに決まってるじゃんよ。ウマいモンとウマいモンを掛け合わせたら更にウマくなるのは自然の摂理だし、ラディッツを倒すために悟空とピッコロが組んだ時の亀仙人のリアクションくらい当然の現象でもある。
↑「忍殺」もあるよ!!
また、それ以外でのモンハンとの差別化点として、持ち込みアイテムは基本的に「飯(ステータスupの恩恵がある)」だけということ。回復薬も罠も閃光玉も!!そんなもん要らねえんだよ!!
回復薬はマップ上で拾えるので実質無限に近い数を使えるし、罠も閃光玉も後述する「からくり」を使ってその場で作る。なので拠点では武器防具と食料のことだけ考えていればいい。あとはサブクエとか。
これ地味にかなり良くって。モンハンだと「あ、アイテム補充するの忘れてた…」とかで渋々補給しに戻ったりしていたのだが、そういった「自分が悪いんだけど、それでもイラっとする」ようなストレスが根本的に無くなっていたのがとても良かった。この辺は新規IPゆえの強みでしょうね。
ということで次項より、そんな全部乗せ丼の詳細な解説へ移ることにする。
↑教えはどうしたんだ教えは!
マップとか
舞台は「東の国(あずまのくに)」で、中世の日本っぽい雰囲気。拠点は「湊(ミナト)」と呼ばれ、名前通り海上に建っている大きな港だが、物語開始時点では流通も少なく寂れていて、ストーリー進行と共に段々と栄えていくことになる。戦闘マップは、
- 春霞の古道
- 夏木立の島
- 秋昏の峡谷
- 冬塞ぎの古城
の4種類。それぞれ名前の季節に即した天候となっているが、クーラードリンクもホットドリンクも無いので完全に見た目だけである。その辺の世界観説明は本家モンハンでやり尽くしているので今更必要無いという判断だろう。賢い。
↑全体的に「和」。イイ感じ。
本作の特徴として、クラフト要素である「からくり」が存在するのだが、戦闘と探索の両方に利用できるものとなっている。
探索用からくりの具体的な例をあげると、探索で得られるポイントを消費してジップラインを作れたり、(ショートカット目的で)上昇気流を起こす装置を設置できたり、キャンプ(ミニ拠点)を設置できたり、鉱石素材の量産装置を設置できたりする。
無論、他にも様々な種類があり、ぶっちゃけ本編クリア程度じゃ全部解放できないレベルなので、この辺りは自分の目で確かめて見てほしい。
↑「龍脈からくり」が探索用のからくり。
筆者がまず感心したポイントこそこの「探索用からくり」で、世界観をぶち壊すこと無くストレスフリーな設計へと落とし込めていると思うのだ。
この手の狩りゲーで、世界観の描写がかなり重要なファクターであることは、かの『MH:W』の大ヒットで既に証明されているのだが、かといってイチイチ探索しながらモンスターを探すのは手間だと感じる側面もある。ゲーマーとは我儘な生き物なんです。
しかし全て「闘技場で狩猟」形式にしてしまうと、それこそ世界観がぶち壊し。そこで本家モンハンは『ライズ』にて「ハンター側の機動力を上げる」というアプローチでストレスフリー化しようとしたが、それでもモンスター側が速すぎるのと、キャンプ位置が固定な仕様のせいで、正直なところ、闘技場かそれ以外かでクエスト毎に受ける印象が全く違ったりした。
本作はそこを更にブラッシュアップし、人工物を直接フィールドに設置できるようにして個々人ごとに快適なマップを自分たちで作成させるという方式をとっている。これがマジで良い。
モンスターと戦闘するエリア付近にキャンプを置いて逃走経路にはジップラインを引いたり、探索の際にすぐ上に上がれるよう上昇気流を随所に設置したり等々、アイデア次第で無限に広がっていくのが楽しい。
↑ジップライン。消費ポイントも低く便利。
ポイントは割とカツカツになりがちなので、無限に設置するのは不可能。つまり各々最適な狩場になるようある程度頭を使わなければいけない仕様となっている為、(少なくとも攻略段階では)オリジナリティ溢れる狩場になるだろう。
従って、クエスト救援はもちろん、フレンドと遊んでいるときですらマップの状況が全く違う。筆者のようにフレンドのマップに入り浸っているせいで開拓が全く進んでいない狩場から、モンスターの逃走経路を完璧に読んだジップラインを設置してある狩場など、まさに千差万別。これならば世界観の問題もクリアしつつ、快適な狩猟も実現できるしで、グレートでナイスな発明だ。
総じて、狩場を自由にカスタマイズできるのはかなり快適かつ面白く、探索のうま味とリンクしている為、ゲーム自体の導線としてしっかり機能しているなと思いました。とても面白いですコレ。
…でも、地味に落下死や水死があるのは謎ポイントでした。そんなとこは原神をトレースしなくていいんだよ!
↑水死、あります…
戦闘アクションとか
もう最初から言っていることではあるが、全体的にキャラクターの挙動はエルデンに近い。
移動の慣性も強めで、右へ行っていたところを急に左にレバーを倒すと、ちょっと踏ん張ってから左に行く。ジャンプ中の急な方向転換ができないわりに、ジャンプ慣性が結構キツいので慣れるまでちょいと苦労すると思う。
スタミナも存在し、攻撃とダッシュにはスタミナを消費しない。しかし回避に関しては1回で2割くらいを消費する仕様となっている。そして攻撃やダッシュ中にはスタミナ回復がほぼ停止した状態になるので、オーソドックスに戦おうとするとちょっとキツめの難易度になる。
またジャンプもあるが、今のとこ戦闘で役立ったことはほぼ無い。探索だと高所に登るために使うこともあるんだけど、後述する「からくり」で足場が作れることもあり、若干死にアクションと化してる感はある。ちょっと勿体ない気もする。
そういった感じで、この辺りはちょっと荒削りな感がある。全部乗せした弊害で、細かい要素で「これはちょっと…」がちょくちょく顔を出してくる。寛容な気持ちを持つしかない。
さて、本作の狩猟は大きく3つの軸が存在する。
- からくり
- 攻撃
- 回避
である。2,3はまあ普通なんだけど、1の「からくり」ってどんな感じのヤツ??となるだろう。
上の項で記述したのは探索用のからくりで、探索で得たポイントを消費して作るモノだが、戦闘用のからくりは「からくり糸」という、フィールドのそこかしこで拾える消費アイテムを使って作成する戦闘補助オブジェクトのようなモノである。
具体的には、上に乗って大ジャンプできる「匣」、武器に火を纏わせられる「火」、モーションの初めに一瞬無敵を自身に付与できるジャンプ台の「發」、大ざっぱな高速移動が可能となる「結」、などまだまだある。自キャラのモーションにバリエーションを加えてくれる要素だ。
しかし、1つ1つだと自分で使う分には良いが、そんな小さなオブジェクトじゃあモンスターの行動は縛れない。オマケに、からくりに敵モンスターの攻撃が当たったら当然のごとく破壊される。ならばどうするのか。
↑からくり。いつもお世話になっております。
答えは「組み合わせる」
例えば、「匣」1個じゃモンスターの攻撃を受けられなくても、「匣」を6個組み合わせるとどデカい「大壁」へと変化し、攻撃をしっかり受けきり、はじき返すことが出来る。ちなみに、概要の項で話した「その場で作る」罠や閃光玉はこの「組み合わせ」にて作成する。
防御や補助以外に、攻撃系の「からくり」もモチロン存在し、デカハンマーや、銛、果ては謎のビーム砲のようなモノまである。中世の日本では当たり前の光景ですね。
コレを利用しモンスターの動きを上手くいなしながら戦うのが『WILD HEARTS』というゲーム。言うまでもないがめちゃくちゃ面白いです。
なお、組み合わせる「からくり」は、大型モンスターの狩猟中に覚醒するものが大半。強くなりたくば狩れ!!ってコト?!
↑これが…
↑こうなる。中世日本って感じ(大嘘)。
また、本作の武器は8種類もあり、新規IPにしちゃあ大盤振る舞い。
具体的には、からくり刀(太刀)、野太刀(大剣)、弓、槌(ハンマー)、傘、飛燕刀(双剣)、大筒、変形棍。モンハンで置き換えられるヤツは表記した。
攻撃アクションは、エルデンのようにリアル調で重く振り回すという訳でもなく、モンハンのようにキビキビ動くわけでもない、その中間くらいのモーション。狩猟をする上でのストレス等は全くなく、かといって無闇に振り回しすぎると攻撃を食らう。そんなバランスになっている。
ちなみに防具や護符といった要素も存在するが、まあモンハンと大体一緒なので説明は省略する。
↑興味ないね(第二人格)。
軽く一通り触って思ったのが、どの武器も意外と攻撃ルートが複雑で、少々やり込みが必要だなということ。しかし複雑だからめんどくさいワケではなく、テキトーに振り回していてもある程度気持ちよく動いてくれるように設計されている。いわゆる「大技」も、ほぼ全ての武器に存在するので、そういった意味では分かりやすい仕様。
先程述べた「からくり」と組み合わせた連携攻撃も用意されており、「匣」と組み合わせて敵モンスターの高い部位を破壊したり、「結」で跳ねて、多少距離がある相手に迫りながら攻撃したり等、バリエーション豊か。
攻撃から「からくり」キャンセルもある為、敵の大技を見てから「發」にキャンセルし、無敵時間を利用して逃げたり、という芸当もできる。マジで無限大です。
そして、狩猟をこなしていく内に自然と「このルートが使いやすい」だとか「この攻撃はダウン中にぶち込もう」だとか、自分の中で決まってくる、という久々に味わうこの感覚よ。初めて遊んだモンハン以来の感覚でした。
とはいえ、難しすぎず簡単すぎずくらいの複雑さなので、特に攻略等も見る必要はないかと。安心しなされ。
イキそうになった pic.twitter.com/3yuDY7YvRv
— いち (@ichigo1592) 2023年3月5日
↑変形棍はくっそ気持ちいいダメージが出るのでおススメです…。
最後に回避だが、ローリング回避とスライディング、あとは「發」による回避の3種類が存在。
ローリングとスライディングは、多分これ相当無敵時間が長いと思われる。エルデンより長い。ただまあ攻撃モーションからのキャンセルルートがあんまり無いのと、そもそもスライディングは抜刀中出せないことや、スタミナの消費がエグめなことから、基本張り付いてる時は攻撃からキャンセルすることができる「發」頼りの回避になる。
上述したが、一瞬無敵が付くので見てから反応しても余裕で間に合うレベル。しかも敵の攻撃で使い終わった發が壊れるので、事故も減って一石二鳥。使わない手は無い。
……あれ?ヌルゲー?と思ったかもしれないが、回避がヌルい分だけ敵の攻撃もヤバいってのが近年のゲームの法則なので、案の定ヤバいのが揃っておりますわよ…。詳しくは後述。
モンスターとか
本作はモンスターのことを「獣(けもの)」と呼称する。でも色々と補足を入れるのがめんどいんで、ここではモンスターと呼称しています…。
デザインコンセプトは「自然物」×「実在の動物」とのこと。パッケージのモンスターでいくと、「狼」×「氷樹」×「冷気」みたいな。
(参考:https://jp.ign.com/wild-hearts/64436/interview/wild-hearts?amp=1)
獣は自然を侵食していくため、自分達の住処を守るために狩る、というのがハンティングの動機。実際戦闘中も自然を侵食し、操って攻撃してくる個体も存在する。雰囲気あってイイ感じ。
↑コイツ。ちなみに結構強いです。
大型と小型に分けられるのはモンハンと一緒。「剥ぎ取り」もある。小型の体力はかなり低いので、大型と戦っている時いつの間にか氏んでいる事が多々ある。小型の素材は武器強化に意外と必要なので見つけたら剥ぎ取っておくのが吉。
一応「なでる」ことも可能で、そのとき落とす素材が拠点の強化に必要だったりもする。近年の狩りゲーに比べると、小型に触れる機会が割と多めであるように感じました。良くも悪くもですが。
↑おーよしよし
そして本命の大型モンスターについてだが、まずデザインがイイ!
時代設定やマップの雰囲気とベストマッチしていて、納得感のあるデザインとなっている。どこまでいっても狩りゲーの軸は敵モンスターなので、ココがしっかりしているのは素直に好印象。
また、他の狩りゲーとの差別点として、部位破壊に(戦闘面での)意味がある、というポイントが挙げられる。他ゲーだとせいぜい「尻尾を切ったから避けやすくなる」程度で、あとは報酬目当ての破壊だと思う。
しかし本作は部位破壊を行うと、モンスターの体表に「光る部位」が出現する。ソコに張り付いて特定のコマンドを押すと、その光をむしり取り、「からくり糸(からくりを作るためのリソース)」へと変換することができる。
罠やビーム砲といった強力な「からくり」は使用するリソースも大きい。しかし戦闘中にフィールドを駆け回ってリソース補給を行うのもテンポが悪い。そこで部位破壊というワケ。
狩猟のテンポを維持しつつ、「からくり」の要素も存分に楽しめるというバランスなので、純粋に狩猟が楽しい。大満足です。
ちなみに部位破壊をすると上記の利点の他に、「からくり」を強化するためのアイテムを落としてくれる。そういう所も他ゲーと違う点。
↑からくり強化。膨大すぎるボリューム。
そんで本題の敵モンスターの強さについてなんですが、ターン制バトルが重視されている設計だと感じた。小技の後隙は小さく、大技の後隙はデカく。結果として、ハンター側は(戦術としての)カウンター中心のスタイルに収束していくかと。
近年の狩りゲーからいつの間にか排除されていたモノが帰ってきたようで、筆者的には嬉しかったです。モンハンですら「ずっと攻撃」スタイルが普通になりつつあったので、狩りゲーのオリジンというか、そういったものを凄く重視してるんだろうと思いました。
とはいえ、露骨なバクステや、よく分からない当たり判定、大技を連発しまくる割に隙が短い一部のモンスター、マルチで明らかに1人を狙って執拗に攻撃するAIなど、ちょいちょい悔しい仕様が滲み出ていたりもする。
↑このサルゥ!は簡悔精神を感じます。
特に攻撃のホーミングはどいつもこいつもかなり強烈で、攻撃を出す瞬間までしっかり狙う。なので範囲外にガッツリ逃げるか、タイミング合わせてフレーム回避、「からくり」で対応可能なものはソレを使う、の基本3択。
フレーム回避自体は相当緩い仕様なので、単発技程度なら何とかなるんだけど、基本的に本作の大型モンスターは連撃してくるので、執拗に1人をつけ狙うAIや、そもそも回避をそんなに連発できない仕様も合わさって、1回被弾したら冗談抜きでそのままハメ頃された場面もいくつかあった。神速!連撃!モンスターは進化した!
ということで回避と攻撃だけでやってくのはほぼ不可能かと。ならばどうするのか。
「からくり」なんすよ
そうなんだよ「からくり」なんだよ。上の項でも述べたが、上手〜く「からくり」を使って敵の攻撃をイナす必要がある。更にからくりを上手く使えば、しっかりと「ご褒美」も貰える。
具体的には、「からくり」を利用して敵の攻撃を捌くと敵が大ひるみ、または大ダウンするのだ。まさにピンチこそチャンス!というワケ。
これのおかげで、「からくりを使わなければならない」というネガティブな狩猟になることは全然無く、むしろ積極的に「からくり」を使いたくなるような設計となっている。コレが素晴らしい!そして上記の部位破壊の仕様がココと噛み合ってくるという寸法。いや〜、好きですねぇ(審査員)。
無論、「からくり」一辺倒では全く無く、あくまで「従来の狩り」プラス「からくり」という塩梅なので、ちょうどいいバランスに仕上がっていると思う。面白い!
しかし「からくり」があるから〜、とピリ辛な強さのモンスターが多いのも事実。全体的に火力でゴリ押ししないと殺されるのはコッチの方なので、武器の強化をサボるとかなりしんどいと思う。武器ガードも無いのでね…。
加えて、不満点も多少あって。それは何かって、モンスター毎に有効な「からくり」が分かりづらい上にチュートリアルが無い点と、「組み合わせからくり」の組み合わせが複雑で何種類も覚えないといけない点、エリア移動関連、あとはアラガネがあまりにも面白くない点。
チュートリアルが無い点は、「からくり」に限った話でもないですがマジで足りないと思う。今後やる人のためにもパッチ等にて対応して欲しいところ。それとも試行錯誤しろ!ってコトなんだろうか…。真意は分かりません。
組み合わせが複雑な点は、まあ言っちゃえばやり込み不足ってことなんですが、それにしてもちょっと難しい。特に本作のモンスターは「からくり」前提のムーブをブチかましてくる(動きも結構速い)ので、それに対応しながら「あれ、どうだったっけ…」ってなるのがツラい…。
ショートカットで「組み合わせからくり」の欄があればラクなんだけどな〜〜って無限に思ってます。筆者だけかもしれませんが…。
また、本作は大型のAIは「残り体力が一定以下になるとエリア移動する」という仕様だと思われるので、どんなに圧倒していてもほぼ1回はエリア移動されちゃうんですよね。そんで移動前に倒そうとしたら、恐らくモンスター側に「根性」のようなものがあり、絶対に倒せない仕様になっているという…。
どういう意図なのかは分かりませんが、そもそも本作の武具は「完成系」にしようとすると、使用する素材量がとんでもないことになりがちなので、コレが積み重なると単純にストレスが溜まる。ここはちょっとどうにかならないかなと思います。
そしてアラガネ!!!お前はマジで許さんぞ。ガチで許さん。許さんからな!!
このアラガネという虎モンスターは本当に面白くない。普通、狩りゲーの大型モンスターってのはねえ!「大技」→「デカい隙」となるハズなんだ!!だがコイツにゃあ隙が無さすぎて、「大技」→「大技」→「大技」。意味がわからん。
しかもこのムーブ、大技連発する一連のムーブというわけではなくて、単発で終わる大技をひたすら擦ってくるという、まさに螺旋丸を連発するナルトのスタイルさながらのクソ戦法をハンター側に擦り散らかしてくる。ナルトの対戦相手ってこんな気持ちだったのかあ…。
ちなみに大技の見た目は、そのまんま螺旋丸と尾獣玉。手に球状の風を纏わせて叩きつけてくる技と、口元に球状の風を溜めて発射する技である。更にそれらの技を撃つ直前まで、強烈な吸い込みと弾き出しを行ってくる。まさに万象天引と神羅天往。どうやら輪廻眼も開眼済みのようだ。
更に!コイツは技中ほぼ常に全身攻撃判定があるのでうかつに近寄れない。当然のようにダメージもエグい。従って攻撃後のほんんんんんんんの僅かな隙にチマチマとダメージを与える他ない。は〜〜〜〜〜ねんまつ(クソデカため息)。
とはいえ不満らしい不満は(個人的には)このくらいで、基本的にはべた褒めです。面白いので是非遊んでみて欲しい!アラガネは知らん。
↑カス。氏んでくれ(直球)。
その他
- 「からくり」には風呂とか長椅子みたいなものもある。何に使うんだ?!
- シナリオや設定は多くは語られないので、各マップ上に落ちている巻物を拾って、設定を拾っていくカタチになる。フロムっぽい。
- 全体的に慣性が乗りすぎるので、ジップラインに乗る時めっちゃ手間取ることがある。ってかジップの判定小さすぎないか?!
- 同じようなモノで、「癒し水の井戸」のさわり判定も小さい。
- あと「崖登り」が完全に原神で笑ってしまった。スタミナ減りすぎなのでもうちょい調整して欲しかった。
- 新規IPなのでしゃーなしだが、モンスター数や武器防具の見た目はちょいと少なめ。その辺は『MH:W』と似た感じ。
- 重ね着要素があるのは結構嬉しい。
- マルチ3人の明確な理由がイマイチ分からなかった。からくりとの兼ね合い?
- 探索要素の「つくも」の数が多すぎて場所が分からなくなりがち。マップ毎に50体って何事だ。
↑イヤミか貴様ッ!!
総括
大大大満足
面白いです。マジで良いゲームだと思います。
ただどこまで行っても不具合やバグ、あとは主にモンスター関連の荒削りな要素は確かに存在するので、レビューって意味では神ゲーに近い良ゲーという評価になってしまうのかな、と。
逆に言えば不具合やバグさえ治れば、もう傑作と言ってしまっていいほどのポテンシャルを秘めている作品でもある。今後もモンスター追加等のアップデートは継続されていくらしいので、いつ化けてもおかしくない…と思う。
一方で、これらを許容できる人は是非とも遊んでみて欲しい。独特な中毒性があります。
実際、筆者はハマりすぎてクロブやマキオンほったらかしてこのゲームやってました。おかげで平日は寝不足。辛い。
あと、今回は具体的な探索要素にゃあ触れていなかったんですが、理由としては筆者自身で探索した範囲が狭すぎて、くっそ浅い感想になりそうだったからです。けど、各マップは風景が綺麗で見応えあるので、いざ探索したら中々面白そう。いやまあ不具合の関係でグラフィック関連は下げてるんですけどもね……。修正来たらやろうかな……。
あと読み返してて思ったんですが、からくりの「發」は普通に「発」でしたね。申し訳ない。
ということで今回は以上になります。興味を持った方は是非とも遊んでみてください。
それでは。